【完結】俺様吸血鬼(ヴァンパイア)との甘い恋



 桜木は呆れながら「あのなあ……」とココアを置く。

「アンタが例えヴァンパイアだとしても、少なくともアンタには、人間の心がある。……だったら死ぬのが怖いって思うのは、普通のことだよ」

「……俺には人間の感情なんかわからねぇよ。 俺が人間なのは見た目だけだ。それ以外はヴァンパイアなんだよ。……人間の感情なんて、ヴァンパイアは知りたくなんてない」

 桜木はそう言うけど、それが本当に本心なのかわからない。

「……そうかな」

「ああ。 少なくとも俺は、人間の心をわかろうとだなんて思っていない。……お前が死ぬのが怖いって思ってるとしても、俺はそんなことは思っていない」

 桜木には少しずつ人間の心が芽生え始めていると思っていたけど、違うのだろうか……。

「……まあアンタはヴァンパイアだからね。わからなくて当然か」

 そうだよね……。私は何を言ってるのだろうか。

「………」

 桜木はなにも言わなかった。……いや、きっとなにも言えなかったのだろう。

 桜木はヴァンパイア。 だから私たち人間は、桜木たちにとっては"敵"なんだ。
 だから桜木は、私たち人間の考えが理解できなかったのかもしれない。
 だからあんなふうに、感情的になりかけたのかもしれない。

 それにヴァンパイアは人間を嫌う。 桜木もきっと、そうなのかもしれない。
 人間として接することがもし出来たとしても、"吸血鬼(ヴァンパイア)"として接することはきっと出来ない。
 だって私たちは、お互い仲の悪い者同士だから。