【sideユズル②】



 ブーブー……と突然俺の携帯電話が鳴る。

「……もしもし」

 電話の相手は俺の友人だ。

「ユズル、大変なことがわかった」

「大変なこと?」

「昨日お前の言ってたヴァンパイアについて調べてみたんだ。……そしたら、大変なことがわかった」

 大変なこと……?

「……なんだよ、大変なことって」

「今お前の近くにいるヴァンパイアは、女だってことがわかった。 見た目ではわからないが、完全に女子高生の姿をしている」

 女? 女子高生の姿……。

「……やっぱり女か」

 なんとなくそんな気はしてたんだ。 雰囲気というか、血のニオイが女っぽかったし。

 「やっぱり……?」

「ああ。なんとなくそんな気はしてた」

「……なるほどな。そいつは女子高生としてお前を狙ってるってことか。 しかし中身は完全にヴァンパイアだ。血のニオイには敏感みたいだしな」

 なるほどな、そういうことか……。

「つまり俺のニオイがわかるってことか。……だとしたら、俺を知ってるヤツなのか?」

「どうだろうな。可能性はなくもないだろうけど」

 俺を狙ってるが女だってことがわかっただけでも、収穫ありだな……。

「なあ、その女のこっちでの名前はわかるか?」

「いや、残念ながら」
 
 名前まではさすがにわからないか……。

「……わかった。サンキュー」

「とりあえず女子には気を付けろよ、ユズル。……またなんかわかったら、連絡する」

「ああ、頼んだ」

 俺は電話を切った。