「ねぇ、その誰かがアンタを狙う理由って一体なんなの?」
「さあな。 俺にもわからない」
わからないから対処も出来ないしな。
「なにか心当たりとかないの?」
真琴からそう聞かれたので「ない」とだけ答えた。
「ちょっと……。それじゃ、アンタ自身狙われる理由がわからないってこと?」
「そうなんだよな。参ったぜ」
真琴は呆れながら「参ったぜって……。アンタ、危機感がなさすぎる」と言っている。
「まあ、焦っても仕方ないしな」
「……もし何かわかったら、必ず私に報告してね。アンタの正体知ってるの、私だけなんだから。 ましてや、そんなこと誰にも相談できないんだからね」
「わかってるよ。お前にはちゃんと報告する」
「ならいいけど。……とりあえず授業受けるけど、アンタはどうする?」
真琴からそう聞かれたので「とても授業を受ける気にはならないな」と答えた。
「わかった。 好きにしなよ」
真琴は「私は単位落としたくないから授業行くからね」と背中を向ける。
「おう」
「……あのさ、桜木」
「なんだよ」
真琴は体を振り向かせ俺の方を見る。
「気を付けてね」
「言われなくてもわかってるよ」
「なら、いいけど」
「ほら、早く行けよ」
俺は真琴の背中を見送ると、屋上へと足を伸ばした。



