同じヴァンパイアでも、能力も違うしニオイも違う。 簡単には見抜けない。
「……つまり私たちの周りにいる人間の中に、その強力な血のニオイを持ったヴァンパイアが、いるってこと……?」
「ああ、だが見た目は人間だ。……ヴァンパイアの俺でも、一発でそれを見抜くのは難しい」
俺がそう話すと、真琴は「そんな……じゃあどうするの?」と俺に問いかける。
「わからない。ヴァンパイアだっていう確信がねぇからな。……とりあえず、向こうから何かを仕掛けて来ない限り、どうすることも出来ない」
真琴は何かを考えるような表情を見せた後、「……ねぇ、今は人間の姿をしてるってことはさ」と話し始める。
「ん?」
「……日が落ちれば、元の姿に戻るってこと?」
真琴は意外と感が鋭いんだな……。
「ああ、多分な。 だが今のバンパイアは賢いから、元の姿に戻るとは限らない」
「え? それじゃあ、夜になっても人間の姿のままってこと?」
「そういうことだ」
真琴は眉間にシワを寄せて「ちょっと、そんなの厄介じゃない」と言っている。
まあ確かにその通りではあるんだけど……。
「俺に言うな。一番困ってんのは俺なんだから」
「そ、そうだよね。 ごめん」
「いや。 とにかく誰かが俺を狙ってるってことだけは、間違いなさそうだしな」
さて、俺を狙うのは一体どこのどいつなのかわからないが、俺をどうする気なんだろうな。
俺を狙う理由はいくつがあるけど、そこまではわからない。



