「そう……。なにも情報がないとなると、困るわよね」

「ああ。 今調べてくれるようにアイツに頼んだところだ」

「アイツ?……って、誰?」
   
 真琴は不思議そうに俺を見ている。

「俺の昔からの友達だ。……とにかく一刻も早くアイツの正体を掴まないと、俺の命が危うくなるからな」

「そうよね。……でも手掛かりがないと、見つけられないし」

「ああ。とりあえず今は、大人しく様子を見るしかなさそうだ」

「……そう」

 俺は真琴の隣に座ると、「だが何も手掛かりになりそうなものがない。 だから今は、俺にも見つけることは難しそうだ」と話した。

「……ヴァンパイアのアンタにわからないんじゃ、私にもわからないわよ」

 真琴がそう言うので俺も「そりゃあ、そうだな」と答えた。

「とにかく、もう少し様子を見るしかなさそうね」

「ああ」

 真琴は俺を見るなり「それにしても、なんでアンタは狙われてるわけ? そのもう一人の"ヴァンパイア"に」と聞いてくる。

「知るかよ、そんなの」

 俺が一番知りたいさ、そんなこと。

「……ただ一つ言えることは、俺はヴァンパイアの世界じゃ有名だってことだよ」

「有名?」

「ああ。 向こうでは"王子様"って呼ばれてたんだ」

 俺がそう話すと、真琴は眉をひそめて「……えっ、アンタが王子様?」と俺を見る。

「……なんだよ、そのリアクションは」

「だって、アンタが王子様?……いや、おかしくて笑える」

「はあ?お前失礼だろ。 俺は向こうでは有名な貴公子なんだぞ」