このままだと、本当に産まれてしまう気がした。
病院に着いてすぐ分娩室へと運ばれた。 産科の先生が優しく手引きしてくれる。
「金森さーん、力抜いてねぇ」
「ううっ……!!」
「ごめんね、痛いよね。 でももう少し頑張って!」
力の抜き方もわからない。え、 どうすればいいのだろうか……。
「はい!いいよー、いきんで!」
助産師さんの言う通りに、いきんだり力を抜いたりしていく。
「桜木さん、赤ちゃんの頭見えてきたよー!」
先生の声が聞こえるけど、産むことに精一杯で何も考えられない。
「桜木さん、ごめんね。もう一回いきんでくれるかなー?」
「えっ……!?」
もう一回!? 無理!無理だよっ……!
「桜木さーん、赤ちゃんもうすぐ産まれるよー!頑張ってっ!」
辛い陣痛に耐えながら、一生懸命頑張る。
「金森さん、最後にもう一回いきんでっ!」
「ふんんんんっ……!!!!」
私は最後の力を振り絞り、力いっぱいいきんだ。
そして……。
「桜木さーん! 赤ちゃん出るよー!」
「はあ……はあっ……」
無事に赤ちゃんが出てきた。
「金森さん、おめでとう!よく頑張ったね! 元気な男の子ですよー!」
目の前で、今産まれたばかりの赤ちゃんが、産声をあげていた。
私は自然と涙が溢れ出て、止まらなかった。
「っ……赤ちゃん……だ」
この子が、私たちの赤ちゃん……。
「桜木さん、よく頑張りましたね」
嬉しい……。ようやく来てくれた、私たちの赤ちゃん。



