「桜木、お前、これって……」
先生は俺を見つめる。
そんな先生に俺は「お願いします。……先生、俺の結婚の証人になってください」とお願いした。
「桜木……本気か?」
俺はそう聞かれて「はい」と即答した。
「俺は、先生に見届けてほしいんです。……俺と真琴の幸せを、見届けてほしいです」
先生は迷っているみたいだった。 だけど「……わかった。俺が、お前たちの証人になるよ」と言ってくれた。
「本当ですか……?」
「お前も金森も、俺にとって大事な生徒だ。 お前たちが幸せになれるなら、それを願うのが……担任である俺の教師としての願いだ」
先生は俺に「桜木……金森のこと、守ってやるんだぞ。子供も、ちゃんと守ってやるんだぞ」と言ってくれた。
「……はい」
俺にとって先生は、最高の先生だと思った。
「桜木、貸してみろ」
先生は俺が渡した婚姻届の証人の欄に、名前を書いてくれた。
「ほら、書いたぞ」
「……ありがとう、ございます」
先生は俺に「一応、桜木は金森と別れたってことになってるんだろ? くれぐれも、金森との結婚のことだけは絶対にバレないにしろよ」と念を押した。
「はい。……わかってます」
「ならいい。 気を付けて帰れよ」
「はい。 さようなら」
俺は婚姻届をカバンにしまい、学校を出た。
「よし、帰るか」
真琴が学校を退学をした後も、俺たちのクラスは何一つ変わっていない。
真琴がいないだけ、それだけだ。



