「はい、プリン」
桜木が目の前にプリンを置いてくれる。
「ありがとう」
うわ……めっちゃ美味しそう。
「うわぁ……美味しそう」
お母さんが作ってくれるプリンと、全く同じ見た目だった。
「これ、本当に桜木が作ったの……?」
「ああ。俺が作った」
桜木が私のために作ってくれたこのプリンが、本当に嬉しかった。
「……いただきます」
プリンを一口に入れると、甘い香りと卵の風味が口いっぱいに広がっていく。
「……美味しい」
「よかった」
「本当に、お母さんの味だ」
ビックリした。 ここまでお母さんの味になるなんて、思ってなかった。
本当にお母さんの味だ……。お母さんが作るプリンの味だ。
「……よかった。ちゃんとお母さんの味になってたか」
「でも……どうしてプリンなの?」
桜木にそう聞くと、桜木は「真琴が、今すごく頑張ってるから、何か力になりたくてさ。 好物のプリン、作ってあげたくなって」と照れ臭そうに笑っていた。
「……え?」
「だって俺、何も出来なくてさ。 真琴が今そんな大きな体で一生懸命に頑張ってるのに、俺は何もしてやれないなって思って」
「……そんなことないよ」
私は桜木の手を握ると「だって、こうしてそばにいてくれるだけで……私は幸せだから」と微笑む。
「真琴……」
「桜木は、何もしなくてもいい。……ただ私のそばにいてくれれば、それでいいの」
桜木は「ありがとう」と私の頭を優しく撫でてくれる。 ただこうして二人で笑い合うだけで、私はそれだけで、生きていける。



