先生がそう言ってくれた時、私はなぜか涙が流れた。

「どうして……先生は私たちの味方をしてくれるんですか?」

「そんなの決まってるだろ。……お前も桜木も、俺の大事な生徒だからだよ」

 先生の優しさに、私は胸を打たれた。

「先生……っ」

 抑えていた涙が、堪えれきれなくなる。

「金森、お前はずっと俺の生徒だ。 これからもずっとな」

「……ありがとう、先生」

 先生は「ほら、ボロボロ泣くな」と私の頭を撫でてくれる。

「……私、頑張りたいです」

「そうか」

 先生は私に「金森なら、出来るさ」と笑ってくれた。

「……はいっ」

「金森、桜木の力を借りながらでいい。 お前なりのペースで、進んでいけばいい」

「っ……はいっ」

 先生が応援してくれたことが何より嬉しくて、私は担任が先生で良かったと思えた。

「じゃあ、俺はそろそろ帰るな」

「はい。 ありがとう、ございました」

 先生が帰るのを見送った後、私は先生からもらったグレープフルーツをナイフで切って食べた。

「ん、美味しい……」

 先生、ありがとうございます。

「ただいま」

「桜木、おかえりなさい」

 帰ってきた桜木を出迎えると、桜木は「誰か来てたのか?」と聞いてくる。

「さっきまで先生が来てたの」

「え? 先生が?」

「うん、お土産にこんなにグレープフルーツ持ってきてくれたの」

「そうか。様子が気になったんだな、真琴の」

 桜木は「俺、着替えてくる」と一旦部屋へ入っていく。


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