つわりのせいで学校へ行くことが出来ず、萌恵を心配させている。
学校にはまだ妊娠していることを伝えるなと言われているため、体調不良で休んでいるとだけ、クラスメイトには伝えられている。
桜木は私の家から学校へと通っているけど、桜木の部屋は相変わらずカーテンは締め切り状態のままだ。
吸血鬼ということが周りにバレないように生きているけど、それでストレスを感じさせていたらどうしよう……と思う時がある。
桜木は「気にするな。慣れている」と言っていたけど、ストレスを抱えているならたまには発散させてあげたいなと感じる。
でもお母さんも桜木には少しずつ心を開いてくれていて、話したりしている。
最近では桜木のことを「ユズルくん」と名前呼びをしていて、驚いている。
すっかり我が家の一員となった桜木は、私たちといると楽しいと言ってくれている。
✱ ✱ ✱
そんなある日のこと、家に担任の片倉先生が私の様子を見に来てくれた。
「おう、金森。 体調は大丈夫か?」
「……つわりで死んでます」
片倉先生は「桜木から聞いてる。グレープフルーツを食べてるんだろ?」と言ってくる。
「はい……むしろグレープフルーツしか食べれません」
先生は「そうか。 てことで持ってきたぞ、グレープフルーツ」と私にグレープフルーツを見せてくれた。
「グレープフルーツだ……」
グレープフルーツを見ると、なんか嬉しくなる。
「食べれる時に食べろよ」
「はい。ありがとうございます、先生」



