「……はっ?」
教室に戻った途端、目に入るのは桜木の周りに集まる女の子たちがいる。
……と、とりあえずウザい。
「本当?ありがとう」
このヴァンパイア男……。ヘラヘラしてるじゃん。
鼻の下伸ばしちゃってさ。……ああ、なんかムカつく。
「ていうか桜木くんって、どこから来たの?」
「んー……まぁ遠いところからかな」
「そうなんだぁ」
後ろから聞こえてくる桜木たちの会話を耳にして思う。……つくづく猫かぶるのうまいな、桜木のヤツ。
ほんと感心しちゃうわ。 てかなんか、コイツの本当の姿知ってるせいかなんか変な感じなんだよな……。
と思った時、桜木が「ねぇ、金森さん」と私の名前を呼ぶ。
「えっ、なに?」
「図書室ってどこにあるの?」
「……え、図書室?」
なんで図書室……? てか、なんで私に聞くの?
「うん。ちょっと読みたい本があってさ。 良かったら、案内してくれないかな?」
はあ?なんで私が……。とも思ったが、桜木に目で訴えられたので「……わかった。後で案内してあげるよ」と答えた。
「ほんとに? ありがとう、金森さん」
「いいわよ、べつに。気にしなくていいから、そんなこと」
「ありがとう」
なんかほんとに違和感あるな……。接しにくくて仕方ない。
とりあえず学校では普通ののクラスメイトとして接してあげないとだけど。 でもアイツがヴァンパイアだなんてバレたら、私としても困るし……。