「……金森、桜木」

 先生が私たちを呼ぶので「はい」と返事をする。

「お前たち……お腹の子はどうするつもりなんだ?」

 私はすぐに「産みたいと……思っています」と答えた。
 先生は桜木にも視線を送り「桜木も、金森と同じ気持ちなのか?」と問いかける。

「はい」

 先生はため息を一つ吐くと「お前たち、今これがどういう状況かわかってるか?」と私たちを見る。

「お前たちの気持ちはわかった。……だが、これはお前たちだけの問題じゃないんだぞ?」

「……わかってます」

「金森、お前学校はどうするつもりだ?」  

 先生からそう聞かれた私は「……辞めます。 辞めて、お腹の子のために働きます」と伝えた。

「……産む意思に、変わりはないのか?」

「はい。……桜木と二人で、話し合って決めました」

 目を見ればわかる。 先生は絶対に怒っている。

「お前たち、わかっているのか? お前たちはまだ高校生なんだぞ?子供を育てられる環境になんかないだろ」

 先生の言うことはごもっともだ。

「……それでも私は、桜木と一緒に生きると決めたんです。 お腹の子を幸せにするために、一緒に手を取り合って生きていくと決めました」

「先生は……悪いが、お前たちのことを応援することは出来ない。 大人として、教師として、応援することは出来ない」

 先生にそう言われたけど、桜木が「それでもいいです。 でも……俺たちはもう決めたんです」と言い返してくれた。

「桜木、その気持ちだけじゃ、子供を育てていくなんて無理だ」