どんな条件を突き付けられるのかはわからない。 でも、受け入れる覚悟を持ってここに来たんだ。
どんなことでも、受け入れる。
「……桜木さん、あなたはこの家に住みなさい」
「はい。……え?」
思わず真琴のお母さんを見る。
「え、お母さん……?」
「私だって、真琴のお腹の中の子が吸血鬼の子供だなんて、本当は認めたくないわよ。……だけど、危険があった時に真琴やお腹の子を守る人がいないと、困るの。うちは母子家庭で、父親がいないから。……だから、あなたがこの家に一緒に住むっていうのなら、あなたたちのこと、認めてあげてもいいわ」
え……本当か?
「え? お母さん……本当に?」
真琴が問いかけると、真琴のお母さんは「ここまで言われたら……二人のこと、認めるしかないでしょう」と言ってくれた。
「……ありがとうございます。俺、この家に住みます。 何かあったら、お母さんのことも守りますから」
この家に住むことが条件という理由なら、俺は当然受け入れる。
真琴と一緒にいられるなら、なんだってする。
「ただし、あなたが吸血鬼だということは伏せてほしいの。……もし厄介なことになったら、真琴や子供に何かあったら、私が困るのよ」
「はい。それはもちろん……分かっています」
こうして、俺が真琴の家に住むことを条件に、俺たちは認めてもらうことが出来た。
「お母さん……ありがとう」
真琴は嬉しさのあまり涙を流している。
「真琴、先生にも妊娠のことはちゃんと話しなさいね」
「……うん、わかった」
とりあえずよかった……本当に。



