「お母さん、私……この子を産みたい。 私の手で、私たちの手で育てていきたい」
真琴がそう話すと、真琴のお母さんは俺を視線を向ける。
「あなたは、どうなの? あなたの気持ちは、どうなの?」
俺の気持ちも変わらない……。変わる訳ない。
「……俺も、真琴と同じ気持ちです」
「そう。 あなたは真琴と、今いるお腹の子を守る覚悟はあるの?」
真琴のお母さんが真剣な顔を俺に見せる。
「……はい。必ず、守ってみせます」
真琴のお母さんは少しの沈黙の後、口を開く。
「本当に、約束できる?……真琴を守ると言うなら、自分の命をかけなさい。 死んでも真琴を守りなさい。 いい?うちの娘を預けるって、そういうことなのよ」
そんなの、決まっている。
「はい。必ず守ってみせます。俺の命に変えても、必ず守ってみせます。 お腹の子も、必ず守ってみせます。……だから、三人で暮らすことを許していただけませんか?」
これが俺の本気なんだ。……これが俺の、覚悟なんだ。
「……お母さん、お願いします。認めてください、私たちのこと」
「お願いします」
俺は真琴のお母さんに、精一杯頭を下げた。
これで結果がどうなるのかはわからない。 でも出来ることは全て伝えたつもりだ。
「……分かったわ。 そこまで言うなら、仕方ないわね」
「えっ!?……本当、ですか?」
「ただし、一つ条件があるの」
「……はい」
どんな条件でも、受け入れる。 真琴と、お腹の子のためならなんだってする。



