俺は真琴に自分の意思を伝える。
 
「必ず認めてもらえるように、何度だって説得する。……だからもう少しだけ、待っててくれ」

 必ず、真琴を幸せにするって決めたんだ。 三人で暮らせるように、俺頑張るから。

「でも……」

「真琴、俺は真琴とずっと一緒にいるって約束しただろ?」

「……うん」

 それから俺は、毎日真琴の家に通った。

「あの、お母さん……」

 話を聞いてほしくて、何度も出向いた。 そして真琴のお母さんに、何度も頭を下げた。

「またあなたなの? もういいい加減にしてちょうだい! 何度来られたって、答えは同じよ!」

「お願いします。……俺たちのこと、認めてください。必ず、真琴さんとお腹の子、守ってみせます。俺何があっても、守り抜いてみせますから」

「しつこいわね! もう帰ってちょうだい!」

 真琴のお母さんが俺を追い返そうとする中、真琴がリビングから出てきて「お母さん、待って……! 話を聞いてっ!」とお母さんの腕を掴む。

「真琴は黙ってなさい」

「お願い、お母さん!……ちゃんと、ちゃんと私たちと話を聞いてほしいの。お願い!」

 そんな真琴に対して、お母さんは「……真琴、体に障るから部屋に戻りなさい」と告げる。
 
「お母さん、お願い! 少しでいいから、話を聞いて……。お願いだから……」

 そんな真琴の思いが通じたのか、真琴のお母さんは「……分かったわ。少しだけよ」と真琴に告げた。

「ありがとう、お母さん……」

 真琴のお母さんが話を聞いてくれたのは、中絶手術の二日前のことだった。