「うっ……気持ち、悪い……」
突然やってくるつわりに、私は泣きそうになった。 なんで、こんなに辛いの……。
でもつわりが来るってことは、お腹の子が一生懸命生きようとしている証なんだと思うと、頑張らないとって、そう思える。
だって私はこの子を産みたいって、ハッキリ思えるから。
私が自分で決めた道を、受け入れてくれる人はいるんだろうか……。
家族であるお母さんにも、認めてもらえなくて……。お母さんの言うとおり、私はまだ子供なんだ。一人じゃなにも出来ない。
この子のためにできることが、私には何かあるのかな……。
子供を身ごもっている私にとって、私生命はもう、私だけのものじゃないのに。
次の日の朝、私はいつもの時間に目を覚ました。
だけど、妊娠している今の体では、起き上がることさえ困難になった。
つわりで吐き気が止まらず、朝ごはんを食べようとしても、ごはんや味噌汁のニオイで気持ち悪くなって何も食べることができない。
昨日、あんなことを言ったお母さんだけど、私のことを心配してくれているのか、ヨーグルトやゼリーなどを用意してくれた。
「真琴、これなら食べられる?」
ヨーグルトを目の前に置いてくれる。
「……ありがとう、お母さん」
でもヨーグルトすら食べる気になれない。
そんな私にお母さんは「真琴、一週間後に病院へ行くわよ」と告げた。
「……え?」
「一週間後に、中絶手術の予約を入れたから」
「えっ!?……ひどい!なんで勝手にそんなことするの……!?」



