「……それ以上言うと、お前のことここで襲うぞ?」

「なっ……!あたしのこと脅す気?」

 卑怯すぎやしない!?

「そっちだって俺のこと、批判したじゃねぇかよ。俺がヴァンパイアってのを使って俺を脅してただろ」

「はぁー!? 脅してないわよ!ていうかあんなの脅しのうちに入らないからっ!」

 あれが脅し!? ありえない……!

「でも俺、意外と傷付いたよ」

「……ヴァンパイアのくせにそうやって純情です、みたいな雰囲気出さないでくれる?気持ち悪い」

「気持ち悪い? 俺が気持ち悪いのか?」

「そうよ。女みたいにネチネチしたとこが、すっごく気持ち悪い」

「……そこまで言うなよ」

 あれ? ちょっと悲しそうな顔してる……?

「だってほんとのことじゃない」

「……わかった。もうなにも言わないわ」

「はぁ?訳わかんない。ったく……」

 あたしは桜木を置いて一人教室へと向かう。

「おはよう萌恵」

「あっ、おはよう」

 私は萌恵に挨拶をした後、「……ねぇ萌恵、ちょっと頼みがあるんだけど」と伝えた。

「頼み? うん、なに?」

「あたし、先生に呼び出されてるから、HRの時そう言っといてもらってもいい?」

「ああ、うん。わかった」

「ありがとう」

 あたしはカバンを机の脇にかけると、急いで先生のところへと向かう。


* * *



「桜木くーん!」

「今日もカッコイイねぇ!」

「こっち見てよー!」