「……さく、らぎ……」

「好きなんだ……真琴。どうしようもなく、好きなんだよ」

「私も……大好きに決まってるじゃない」
 
 真剣な眼差しで見つめられて、そしてまた、お互いに深くキスをした。 その気持ちを確かめ合うように、深く深く……キスを繰り返した。
 桜木の背中をぎゅっと掴んだとき、離れたくないと、強くそう思ってしまった……。

「……ちゃんと、俺からも言いたい。俺の、本当の気持ち……お前の、母さんに伝えたい」

「でも……無理だよ」

 お母さんにはもう、きっと伝わらない。

「認めてもらえないんだったら、認めてもらえるまで。……何度だって、お前の家に通う」

 そこまで私にしてくれる理由は、なんなんだろ  うか。
 吸血鬼でもない、普通の人間の私に、なんで桜木がそこまでしてくれるのか……。

「……なんで? なんで、そこまで……。私は、吸血鬼じゃないのに……」

「違う!そんなこと関係ない。 俺にとってお前は、゙大事な人゙だからだよ」
 
 桜木のその真剣な瞳に吸い込まれていく。

「俺は……人間の真琴だから、好きになったんだよ。 吸血鬼とかじゃなくて……俺の中に眠る人間としての俺が、真琴を選んだんだ」 

 桜木から優しく髪を撫でられ、胸がときめいた。

「……ありがとう、桜木」

 私の大好きな人。 吸血鬼だっていい、人間じゃなくてもいい。
 私が本当に生きたいと思う相手。一緒に生き抜いて生きたいと、本気でそう思える相手なのだ。
 それが私にとって、桜木なんだ。