「……やっぱり、俺が吸血鬼だからか?」

「吸血鬼の子供なんて、産むなって……そう、言われた」

 私は涙が止まらなくて、思わず下を向いた。

「ごめんな……真琴」

 桜木は優しく私を抱きしめてくれた。

「こんな風に辛い思い……させてごめん」

 私は桜木の服の袖を掴んで、「……私は、別れるなんて、やだよ……」と桜木に訴えた。

 でも桜木は「真琴、お腹の子……堕ろそう」と言ったのだった。

「えっ……? なんで……?!」

「お前のために言ってるんだ! こんな風に……」

「やだっ! 絶対にイヤッ……!」

「真琴……?」

 私は桜木に「私は、この子を産みたいの……」と告げる。

「っ!? 何言ってんだ! そんなことしたら……!」

「この子の母親は私なの! 私はこの子を産みたい!……産みたいの」

「……真琴、もういいって」

「守りたいの……。この子の時間を、この子の人生を……たった一度の、これからの人生、だから」

 桜木にわかってもらおうなんて思ってない。 でも私は、この子の母親だから……守りたい。

「分かってる。もう桜木には、迷惑かけないよ。私が一人で産んで、一人で育てるから。……だから、もう心配しないで?」

 私は桜木の頬にそっと触れて、ニコッと笑ってみせた。 でもその腕を掴んで、桜木が私を抱きしめてくれた。

「んっ……っ」

 そのまま引き寄せられ、桜木にキスをされる。

「……え? なんで……?」

「やっぱり俺、お前と一緒にいたい。お前と一緒に、これからの人生を歩みたい。……この子と三人で、幸せに暮らしたい」