話そうとした時、再びつわりが襲い始める。

「真琴?大丈夫?」

「気持ち、悪い……」

「お水持ってくるから、座って待ってなさい」

「うん……ありがとう、お母さん」

 お母さんはきっと、今ので気付いた。私が妊娠してること。

「真琴、はい。お水」

「……ありがとう」

 お水を飲む私に、お母さんは「真琴、アンタもしかして……妊娠してるの?」と聞いてくる。
 私はお水を置くと「……うん。今、六週目だって」と伝えた。

「……そう、そうなのね」

「ごめんね……。お母さん」

 私は俯いた。

「……真琴」

「え……?」

 お母さんは私を優しく抱きしめてくれた。

「真琴はお腹の子……どうしたい?」

「……え?」

「お母さん、真琴が産みたいと思うなら、協力する」

 え……? 

「え……どうして……?」

「どうしてって?」

「どうして……怒らないの? だって私、まだ17歳だよ? 未成年なのにこんなことになって……普通なら、怒るところでしょ?……なのにどうして」

 お母さんはそんな私の手をギュッと握り締める。

「それはお母さんが、アンタの幸せを一番に思ってるからよ」

「……え?」

「真琴は、病院でお腹の子をエコーで見た時、なにか感じた?」

「……動いてた。小さかったけど、動いてた。それを見て私、命を授かるって偉大なんだなって思った」

「そう」

「……でも、それと同時に、怖くなった。だけどこの命を、小さな命を私が守らないと。……そう、思ったりもした」

 お母さんは「偉いわね、真琴」と褒めてくれた。