「……そうだよね」

 私も今、同じ気持ちだから。  気持ちを整えようとオレンジジュースを飲もうとした時……。

「うっ……っ」

 突然吐き気に襲われた。

「真琴……? 大丈夫か?」

「っ、うん、大丈夫……」

 桜木が心配そうに背中をさすってくれる。

「ムリするな。……お前一人の、体じゃないんだから」

 あんなにひどいことを言ったのに、桜木は優しい言葉をかけてくれる。
 どうして……どうして……。

 桜木のその優しさが辛くなって、泣きそうになってしまう。
 どうしたらいいのかわからなくて、何も言えない……。

「……ありがとう、桜木」

「大丈夫か?」

「うん………大丈夫」

 私たちはカフェを出て歩き出した。

「家まで送るよ」

「大丈夫だよ。……一人で帰れる」

「ダメだ。何かあったらどうするつもりだ」

 桜木がそう言ってくれたけど、一人になりたいというものあり「……本当に、大丈夫だから」と伝えた。

 家に帰るのが、怖い。 お母さんになんて言われるのか、考えただけで怖い。
 私にはそんな勇気、あるんだろうか……。

「……そっか、分かった。気を付けてな」

「うん……じゃっ」

 私は家に帰ってすぐ、お母さんにこのことを言おうと思った。

「……ただいま」

「おかえりなさい。早かったのね」

 お母さんが家に帰ると明るく出迎えたくれた。

「あのね、お母さん。 話が、あるんだけど……」

「あら、話? なにかしら?」

「私ね……」
 
 やはり言葉に詰まってしまう。

「……真琴? どうしたの?」

「あ、あのね……私!」