「本気で俺の子供を作ろうと思っていたが、それは無理のようだな。 この女が妊娠しているとなると、俺の子供を産ませるのは無理だからな」

 どういうこと……? え、わかんない……。

「……女、今日でお前は開放してやる」

 男は私に「俺の子供を産めない女になど、もう興味はない。 ここからさっさと出ていけ」と私に言った。

「……え?」

「何してる。早く出ていけ。……目障りだ」

 男はそう言うと、部屋を出ていってしまった。

「行くぞ、真琴」

「……う、うん」

 私は制服を直し、下着を履き直して桜木と一緒に外へと出された。
 私たちはようやく開放された。 久しぶりに、外の空気を吸った気がする。

 外は太陽がとても眩しくて、目を細めてしまうくらいの強さだった。
 いつぶりだろうか……外に出たの。 ずっと閉じ込められていたせいで、感覚がマヒしてる気がする。

「……真琴」
 
 私……本当に妊娠してるの? 本当に……?

「……なあ、真琴」

 まだ信じられない……。本当に、私には赤ちゃんが……?

「待てって、真琴!」

 立ち止まらずに歩こうとする私を、桜木は腕を掴んで阻止する。

「なんで、何も言わなかった?」

「……え?」

「妊娠してること、なんで俺に言わなかった?」
 
 言わなかった訳じゃない。 

「おい、真琴」

「……言わなかったんじゃない」

「え……?」

「本当に、知らなかっただけ」

「……そうか。ごめん」

 桜木は悲しそうな顔で私の腕を静かに離した。