「……うっ」

 私は唇を離した瞬間、急に吐き気に襲われた。 急に気持ち悪くなり、思わず下を向いて座り込んだ。

「真琴……? どうした!?大丈夫か!?」

「……き、気持ち、悪い……」

 急に気持ち悪くなり、その場に座り込んだ。

「大丈夫か?」

「なんか、急に吐き気が……」

 なんでこんなに気持ち悪いの……。喋ることすらキツイ状態だった。

「……おい、まさかお前」

 あの男が急に口を開いた。

 桜木は男に向かって「……お前、真琴に何をした?」と問いかける。

「いや、まだ何もしていないよ。お前に邪魔されたからな」

「ウソつけ! じゃあなんで、コイツこんなに苦しそうなんだよ? お前がなんかしたとしか思えない」

「うっ……気持ち悪い……」

 そんな私の様子を見た男は「子猫ちゃん、君……まさか妊娠してたりする?」と言ってきた。

「え……?」

 ウソでしょ……。

「なるほど。お腹の子の父親は……桜木ユズル、お前か」

「えっ……?」

 妊娠……? 私が、妊娠……?
 しかもそれは、よりにもよって吸血鬼(ヴァンパイア)の子供だ……。

「……真琴、お前……それ、本当なのか?」

 私は何も言えなかった。 だって、本当かどうか分からないから。
 だけど確かに、思い当たることはあった。 だってもうしばらく、生理が来ていなかったから。

 最近色々なことがあったから、そのストレスを抱えていたせいで、遅れているだけなんだと思っていたのに……。
 それは違っていたってこと……なの?