「なぜそんな顔をする。 俺と子作りが出来るんだぞ?もっと喜べ」

「っ……んんっ」

 そう言われて、強引に唇を重ねられる。 何度も何度も、キスをされる。
 対抗すれば私は、コイツに殺される。 命令は絶対なのだ。 従わないと、殺される……。

「……よし、いい子だ」

 好きでも男とのキスなんて、誰がしたいのだろうか。
 私は桜木とだけキスをしたい。桜木にだけ……抱かれたいのに。

 こんな風に見せつけられるようにキスをしたり、抱かれるなんてイヤ……。
 桜木に助けてほしい。 助けてほしいのに、気付いてくれない。
 桜木……私がこんなことになっても、アンタは平気なの……?

 ドサッ……! 

「きゃっ……!」

 その時、私は男の部屋のベッドに押し倒された。

「さ、お楽しみタイムといこうか」

「っ……イヤッ……んっ」

 男はそう呟いて、私の唇をまた奪ってくる。そして首元に顔を埋めてくる。

「触ら、ない、で……っ」

「かわいいね、子猫ちゃん」

 本当なら触らないでほしい。 私に触れていいのは桜木だけ。
 桜木にだけ、触れてほしいのに……。

「……お前のその俺を拒絶する目、ゾクゾクするな」

「んん……やめて、お願いっ」

 抵抗しようとするけど、両手をグッと掴まれ押さえ付けられる。

「やめるわけないだろう? いいか、お前のことを誰よりも愛しているのは、この俺だ」

 違う……。これは愛なんかじゃない。
 コイツは、私を支配して自分のモノにしたいだけ。 こんなのは、全然愛なんかじゃない……。