その日、私の脚取りはとても重かった。 まるで霊にでも取り憑かれたみたいに、全身が重く感じた。
 これが何かの前兆なのか……それとも。
 
 その予感が的中するような気がして、学校に行くのが怖い。
 もしまた私たちの前に、アイツらが現れたら……?

 私はきっと……。今度こそ、生きて帰れないかもしれない。
 これまでだって何度も死にかけて、本当に死ぬかと思った。 それでも今生きているのは、桜木のおかげ。
 桜木がいなかったら私は、きっと今ごろ吸血鬼にされていたか、死んでいた。

 今度は……どうなるのだろうか。
 また生きて帰れるかどうかわからなくて、怖くて仕方ない。
 ……ダメダメ、もう考えるのはやめよう。

 ところが、学校に着いてしばらくしても、桜木は登校してこなかった。
 電話したりメッセージを送っても、既読にならなかった。 

「なんで、電話出ないの……」

 どうして電話に出ないの? なんでメッセージ読まないの?

 その日桜木が学校に姿を見せることはなかった。
同様に、朝からずっと連絡は取れないままだった。

 放課後、桜木の家に寄ってみたけどいる気配はなかった。

「いないか……」

 チャイムを鳴らしたりしたけど、いなかった。

「……桜木、どこに行ったの?なんでいないの?」

 桜木が私になんの連絡もしないで、いなくなる訳がない。 必ず連絡してくれるはずだから。 
 その時、私は何かを確信した。……何かがおかしい。桜木に、何かあったんだと。