「……理由はともかく、また何かが起こるサインかもしれない。気を付けよう」

「そう、だね……。気を付けよう」

 イヤな予感がしたのは、間違いない。
 だけど、その予感が的中するのは、すぐ後のことだった。

 それから数日後の朝、ニュースで吸血鬼と思われる遺体が見つかったと流れていた。

 ーーードクンッ

 私の心が、急にざわざわし始めた。 なに……なんなの、この胸騒ぎ……。
 体が動かなくなって、まるで金縛りにあったみたいに、動けなくなってしまった。

 ……え、なに? なんなの、これ……?

 イヤな予感がする。 それは知ってはいけない未知の世界に入り込んだかのような、そんなざわめきだった。

「……っ」

 体が……動かない。

「真琴? どうしたの?」

「……え、いや……なんでも、ない」

 お母さんはニュースを見ながら「朝からイヤなニュースね、また吸血鬼……。そういや、アンタの学校の近くでも吸血鬼が出てたって言ってたわよね?」と言っていた。

「……あ、うん」

 頷くとお母さんは「真琴、アンタも気を付けなさいよ。物騒な世の中だから」と言った。

「……うん。ありがとう、お母さん」

 この前桜木の家に送られてきた、あの血の入ったビン。 そして、吸血鬼の遺体……。
 なにか、桜木と関わりでもあるの? 桜木にもしものことがあったら、私は……。

 いや、関係ないと思いたい。 だけど、関係ないとは、どうしても思えない。
 何かが、ある気がする……。