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「桜木、おはよう」  

「おはよう、真琴」

 あれから一ヶ月経っても私は死ななかった。
 やっぱり、あの解毒剤のおかげかな…?

 毒を全てだ抜いてくれるって言ってたけど、本当だったんだ……。
 あなどってなかれってことかな。

「真琴、今日家来るか? 家の近くにカフェが出来たんだ」

「へぇー行きたい!」

「じゃあ、帰りに行くか」

「うん」

 あれか平和な生活になった。 特にヴァンパイアだということもバレず、桜木も人間として生活している。
 あれから特に何も起きない。 桜木の話だと、血のニオイもなくなったらしい。
 恐らく、しばらくは大人しくしているんじゃないかという話だ。……まあ、何事もないのが一番だけど。

 放課後は、桜木と一緒に最近出来たというカフェへ行った。
 人気メニューがフルーツパフェとパンケーキらしいので、二つ頼んで食べてみることにした。

「お待たせいたしました。フルーツパフェとフルーツパンケーキで、ございます。 ご注文の、品は以上でよろしいでしょうか? ごゆっくり、どうぞ」

 店員さんが持ってきてくれたパフェとパンケーキは、めちゃくちゃおいしかった。

「美味しいね〜これ」

「ああ、うまい。甘さ控えめがいいな」

「ん! こっちのパンケーキも美味しい」

「美味い?」

「うん、美味しい。メープルシロップ最高かも」

 なんて普通のカフェデートを楽しんだりして、恋人っぽい日常を送っている。
 まあこれが普通なんだと思うんだけど。