平日のお昼を過ぎた頃の気持ちの良い時間。僕は顔を突っ伏し、自分の席で寝ていた。周りのクラスメイトはみんな楽しそうに話をしている。


午前の授業を終えたクラスの中はとても賑やかでうるさいくらいだった。


この騒がしいのが嫌で僕はカバンからイヤホンを取り出すと乱暴に耳に突っ込む。さらに顔を覆うようにマスクをし、また寝る体勢に入った。


そんな僕を見てみんなは何を思う?


“暗い?”“陰キャ?”“ひとりが好き?”どれも合っているようで違う。僕には僕の空間があればいい。


騒がしいのは嫌いじゃない。


だけど鬱陶しいと思ってしまう時がある。それが、この時間。お昼休みはひとりでいたいと思ってしまうのだ。


別に友達が居ないワケじゃない。ただ1人、幼い頃から僕のことをよく知っている人がこのクラスにはいた。



「おーい、亜嵐。今日提出って、寝てんのかよ」



イヤホンで大音量で音楽を聴きながら寝ていたから気づかなかった。コイツ……幼なじみの松村銀華がいることを。



「……おい、亜嵐。起きろ」


「勝手にイヤホン外すなよ。この時間邪魔するなって言ってるだろ」



苛立った銀華は僕のイヤホンを無理やり引っこ抜くと耳元で話しかける。