「だから、なんで大きな声出すかな」
「ごめんって。あまりにも衝撃的過ぎて。いつもぼっちな悠斗がまさかねぇ」
「ぼっちで悪かったな。それはいいとして、相談乗ってくれないかな?」
「相談? 別にいいけど。放課後でいいか? 誰もいない方が良いだろ?」
「うん、その方が嬉しい。蓮、ありがとう」
「じゃ、ジュース一本奢りな」
「そういうとこはちゃっかりしてるんだから」


 悠斗は蓮の存在のありがたみを実感した。本当に信頼できる奴で良かったと思った。そして、放課後、自動販売機で蓮の分のジュースも買い、二人は誰も居なくなった教室で話し合いを始めた。


「まさか連絡先交換してたなんてなぁ」
「でも、そんなやり取りはしてないよ。というか、最近は全く連絡取り合っていないし、音楽室にも行っていないから、あの人とは会っていないんだよね」
「あーっ、言われてみれば、足繁く音楽室へ行ってたのに、最近は音楽室に行かず、帰ってるもんな。なんかあったのか?」
「実はさ、あの人の気分を悪くさせちゃったというか。謝ったんだけど、素っ気無くて」
「何かあったのか?」


 悠斗は胸に手を当て、一呼吸した。そして、悠斗は蓮に音楽室での一件をありのまま伝えた。悠斗の中では重大な出来事だったが、話し終わり、蓮を見ると、呆れ顔をし、机に頬杖をつき、ジトッとした目でこちらを見ていた。


「悠斗さ、考え過ぎだって。悠斗は集中したくて、怒って、あの人は悠斗の邪魔にならないようにしただけだろ? 別に普通のことじゃね?」
「でも、なんか冷たい感じがしたし、言った後に一人になって、初めて胸がギューッと締め付けられる感じがしてさ。酷いことしちゃったなって」
「はぁ、悠斗の過剰な妄想は小さい頃から変わらないな。そんなに思い詰める必要ないよ」
「でも――」
「でもじゃねぇーよ。考え過ぎ。ってか、あの人のSNS見たか?」
「いや、見てない」
「だったら、これ。あの人の公式SNS」


 蓮は自分の携帯電話を取り出し、何やらいじっていると思えば、画面を悠斗の目の前に見せつけてきた。画面には翔太のメディア欄が映し出されていた。そして、悠斗は蓮から携帯電話を受け取ると、翔太のメディア欄をスクロールしながら、じっくりと見た。
 日常風景だったり、朝焼けの空などの景色だったりと毎日投稿されていた。悠斗の知らない世界がそこには広がっていた。
 悠斗が見入っていると、蓮に携帯電話を急に取り上げられた。そして、蓮はまた携帯電話を操作して、とある投稿を見せてきた。