観覧車を降りるとすぐに遊園地を出た
コインロッカーに預けていた荷物を取り、佐世保駅近くのビジネスホテルへと向かう
ホテルにチェックインをして、部屋の前で別れる
シングルを二部屋予約したが、隣同士の部屋になった

「おやすみなさい」
「おやすみ」

健後は部屋に入る
するとすぐにスマホが鳴った
母親からの電話だ
電話に出ると、思い出が掻き消されるような怒声が響き渡った

「健後今どこにいる」
「長崎だけど」
「まさか泊りで旅行しているのか」
「そうだよ」
「急に合宿なんていうから母さん学校に行ったんや
 そしたらそんな予定はないって先生が
 部長さんが聞いて来てくれたんだけど、同級生の女の子と旅行しとるちゅうね」
「友達と旅行しているだけだよ
 嘘付いたのは悪かった」
「悪かったじゃねぇよ
 相手のご家族にも連絡したさ
 もし手ぇ出したら許さんから」
「わかった」
「このバカ息子」

電話が一方的に切れる
健後はベッドに腰を下ろす
罪悪感と背徳感が口からこぼれそうだ