俺、レンは生まれ育った王国を、国王である父親から左遷され辺境の闇のスラム領とまで蔑称されるやばい領地の領主に就任することになってしまった。
色々あって疑心暗鬼になっていた領民の一人に喧嘩をふっかけられるがなんなく倒し、えらく驚かれた!
そしてそいつにも認められた結果、多分領民全員?認めてくれた。
んで今は俺の就任祝いが開かれている。
「レン様、どんどん食べてくださいね! 」
「領主様これからこの領地をお願いしますね」
「おー、任せとけ。だけど皆も協力してくれよ? 意見もバシバシ言ってくれていいからな! 」
「さ、流石だ……今までの領主とは全然違う」
「前の領主ってどんな感じだったん? 」
「えぇっと……」
領民の一人が教えてくれたのはこんな感じ。
お手上げ状態ででてったとか、近くの森で魔物に出会ってビビり散らかして一目散に逃亡して行ったとか。
またある領主はトメリルに手を出そうとしてガークにボコボコにされて近くの森に投げ入れられたらしい。
確かにトメリル綺麗だもんな、スタイルも抜群だし。
変な気でも起こしてしまったのだろう。
さっきから森という単語がよく出てくるがなんなんだ?
ここからも見えるあの森のことだろうか。
「冒険者ギルドのランクでいえばSランク以上の魔物が蔓延っている危険な森なんです。瘴気も強くて入口付近ですら、体制のない人間であれば吐き気や嘔吐をしてしまうほどに濃いです。領主様も間違って立ち入ることがないようにお気をつけてくださいね」
そこまで濃いのか。けど俺の知り合いのアイツなら「あれ? ちょっと空気がおいしくないね? 」とかいいながらケロッとしてそうだな。
ついでに気になったことも質問した。
「その魔物が降りてきたらどうするんだ? 」
「今までそんなことなかったので……私がヘレススに来て十数年経ちますが、一度もなかったです。とと、祝いの場で辛気臭い話題をして申し訳ありませんでした。私はこれで」
今までに前例が無いから安心……それは裏を返せば、起きてしまったら何も対処法を知らないという訳だ。
もしそうなってしまった場合は領主の俺が、領民を守らなければならない。
これはあの森の調査もして行かなければならないな。
歓迎会は夜遅くまで続いた。
ぶっちゃけ俺より領民たちの方が飲み食いしてた。
けれども皆笑顔でどことなく安心していた。
トメリルもそうだ。最初会った時は顔がやつれて、元気も無さそうだったが今は飲み物片手に、リーナと談笑していてずっと笑顔だ。
リーナは相変わらずの……いや、彼女も笑顔だった。
ガークも取り巻きも、領民みんな。
この笑顔と空間を守りたい、そう心から思えるひとときとなった。
さて、そんな歓迎会もそろそろお開きの時間が迫ってきた。
ぼちぼちと片付けが始まったので俺も自分の皿と、隣ですやすやと寝息をたてているリーナの分を手に持ち、回収してる場所に行く。
皿を手渡すと何故かえらい驚かれた。
「はーい、ありがとう……って領主様!? 領主様は座っててください!! 回収は私たちの仕事ですし、わざわざ持ってこさせるなんて! 」
「い、いや俺もこの領地の一員だからさ、手伝うよ。それに皆が片付けしてる中俺だけあぐらかいて座ってるのは嫌だしな」
「なんと素晴らしいお方なんだ……」
「今までの領主とは雲泥の差だな」
「比べることすら烏滸がましいかもしれないですね」
当たり前のことしただけなのにめっちゃ褒められる。
俺、自分で食った後の皿片付けただけだぞ……。
今までの領主まじでどんだけヤバい奴揃いなんだ!?
そして片付けが終了した。
何回も止められたけど、やっぱ最終的には褒められる。そんな感じのが何回か続いた。
褒められるのが嬉しくて、張り切ってしまった。
あっちじゃ貶されることの方が多かったからなぁ。あいつらは良く褒めてくれたけど、やっぱ血の繋がりのある人間、しかも親族ほぼ全員に無能だ何だと言われるのは心にグサッとくるものだ。
ここに来て解放されたことで、新たな視野が広がった。
それでいてやっと分かったことがある。
もしまたあいつらに会える日が来るのなら、一人一人に感謝、そして謝罪を伝えたい。
ぼーっとそんなことを考えてると、トメリルが肩をポンっと叩いていた。
「やっと気づかれましたか、呼んでも中々返事がなかったので心配したんですよ! 」
「あぁ、すまん。ちょっと王国のやつらを思い出してた」
「そうでしたか……今日はもう夜遅いので良ければ、また今度にでもレン様のお話を聞かせて貰えませんか? さっき聞かせていただいたご友人とのお話の続きも気になります! 」
さっきの宴の席で、酔ってちょこっと話をしてしまったのだ。
「あんな話でいいならまたいくらでもするよ」
「嬉しいです! では、レン様の屋敷を紹介させていただいて、今日はお別れですね」
案内される。夜風がほんのり涼しく、酔いも少し覚めた。
他の家々より一回りも二回りも大きく、これぞ屋敷!と言った感じの大きさの建物の前に立ち止まる。
「こちらがレン様の……領主の屋敷です」
色々あって疑心暗鬼になっていた領民の一人に喧嘩をふっかけられるがなんなく倒し、えらく驚かれた!
そしてそいつにも認められた結果、多分領民全員?認めてくれた。
んで今は俺の就任祝いが開かれている。
「レン様、どんどん食べてくださいね! 」
「領主様これからこの領地をお願いしますね」
「おー、任せとけ。だけど皆も協力してくれよ? 意見もバシバシ言ってくれていいからな! 」
「さ、流石だ……今までの領主とは全然違う」
「前の領主ってどんな感じだったん? 」
「えぇっと……」
領民の一人が教えてくれたのはこんな感じ。
お手上げ状態ででてったとか、近くの森で魔物に出会ってビビり散らかして一目散に逃亡して行ったとか。
またある領主はトメリルに手を出そうとしてガークにボコボコにされて近くの森に投げ入れられたらしい。
確かにトメリル綺麗だもんな、スタイルも抜群だし。
変な気でも起こしてしまったのだろう。
さっきから森という単語がよく出てくるがなんなんだ?
ここからも見えるあの森のことだろうか。
「冒険者ギルドのランクでいえばSランク以上の魔物が蔓延っている危険な森なんです。瘴気も強くて入口付近ですら、体制のない人間であれば吐き気や嘔吐をしてしまうほどに濃いです。領主様も間違って立ち入ることがないようにお気をつけてくださいね」
そこまで濃いのか。けど俺の知り合いのアイツなら「あれ? ちょっと空気がおいしくないね? 」とかいいながらケロッとしてそうだな。
ついでに気になったことも質問した。
「その魔物が降りてきたらどうするんだ? 」
「今までそんなことなかったので……私がヘレススに来て十数年経ちますが、一度もなかったです。とと、祝いの場で辛気臭い話題をして申し訳ありませんでした。私はこれで」
今までに前例が無いから安心……それは裏を返せば、起きてしまったら何も対処法を知らないという訳だ。
もしそうなってしまった場合は領主の俺が、領民を守らなければならない。
これはあの森の調査もして行かなければならないな。
歓迎会は夜遅くまで続いた。
ぶっちゃけ俺より領民たちの方が飲み食いしてた。
けれども皆笑顔でどことなく安心していた。
トメリルもそうだ。最初会った時は顔がやつれて、元気も無さそうだったが今は飲み物片手に、リーナと談笑していてずっと笑顔だ。
リーナは相変わらずの……いや、彼女も笑顔だった。
ガークも取り巻きも、領民みんな。
この笑顔と空間を守りたい、そう心から思えるひとときとなった。
さて、そんな歓迎会もそろそろお開きの時間が迫ってきた。
ぼちぼちと片付けが始まったので俺も自分の皿と、隣ですやすやと寝息をたてているリーナの分を手に持ち、回収してる場所に行く。
皿を手渡すと何故かえらい驚かれた。
「はーい、ありがとう……って領主様!? 領主様は座っててください!! 回収は私たちの仕事ですし、わざわざ持ってこさせるなんて! 」
「い、いや俺もこの領地の一員だからさ、手伝うよ。それに皆が片付けしてる中俺だけあぐらかいて座ってるのは嫌だしな」
「なんと素晴らしいお方なんだ……」
「今までの領主とは雲泥の差だな」
「比べることすら烏滸がましいかもしれないですね」
当たり前のことしただけなのにめっちゃ褒められる。
俺、自分で食った後の皿片付けただけだぞ……。
今までの領主まじでどんだけヤバい奴揃いなんだ!?
そして片付けが終了した。
何回も止められたけど、やっぱ最終的には褒められる。そんな感じのが何回か続いた。
褒められるのが嬉しくて、張り切ってしまった。
あっちじゃ貶されることの方が多かったからなぁ。あいつらは良く褒めてくれたけど、やっぱ血の繋がりのある人間、しかも親族ほぼ全員に無能だ何だと言われるのは心にグサッとくるものだ。
ここに来て解放されたことで、新たな視野が広がった。
それでいてやっと分かったことがある。
もしまたあいつらに会える日が来るのなら、一人一人に感謝、そして謝罪を伝えたい。
ぼーっとそんなことを考えてると、トメリルが肩をポンっと叩いていた。
「やっと気づかれましたか、呼んでも中々返事がなかったので心配したんですよ! 」
「あぁ、すまん。ちょっと王国のやつらを思い出してた」
「そうでしたか……今日はもう夜遅いので良ければ、また今度にでもレン様のお話を聞かせて貰えませんか? さっき聞かせていただいたご友人とのお話の続きも気になります! 」
さっきの宴の席で、酔ってちょこっと話をしてしまったのだ。
「あんな話でいいならまたいくらでもするよ」
「嬉しいです! では、レン様の屋敷を紹介させていただいて、今日はお別れですね」
案内される。夜風がほんのり涼しく、酔いも少し覚めた。
他の家々より一回りも二回りも大きく、これぞ屋敷!と言った感じの大きさの建物の前に立ち止まる。
「こちらがレン様の……領主の屋敷です」