因みにあの目覚まし時計君の音、食堂まで聞こえていたみたいだ。

なんだったんですかあの音は、って問い詰められたが、適当に流しておいて。

やっと揃った皆で朝ごはんを食べて、食器は自動洗剤噴射機能付きのガラクタに全部投げ込み、それを水で洗い流して終わり。

クレ二がほへーと眺めていた。

「こんな便利なのまで作っちゃえるのね」

「便利だしメイド組の負担軽減にもなってるみたいで作ってよかった」

他にもちょこちょこと話をしていたら、他のみんなは仕事なり洗濯物を星に行ったり、二度寝しに行ったりで、クレニと二人きりになっていた。

「ねぇ、レン君は王都……ってよりはお城で酷い目にあってきたんでしょ? ここは関係ないとはいっても間接的には王国のものだしさ。左遷なんてバックれて他の国に行こうって思ったりしなかったの? 」

突然そんなことを言われて驚きながらも答える。

「他の国っても行く宛てなんて何処にもないからなー。大人しく左遷を受け入れるしかなかったんだよな。それに城で酷い目にあってきたって皆に思われてるけど、正確には違うかな? 同じ血が流れてる人間に嫌われてただけで他のやつらは仲良くしてくれたからな。それこそ賢者のマーリンとか魔術師や騎士団のみんなも良くしてくれたし、魔剣プレゼントしてくれた結界魔術師長、それに……君もね? 」

「次から次へと重要な役職名が挙げられていくけど、なんかもう驚かなくなってきたわ。けどこれは聞いておきたいんだけど、後悔もしてないの? 」

「んー最初こそはこんな領地……って思ったけど、今じゃここが好きだぜ。それに俺の力でここを発展させていったら、少しは認めてくれるんじゃねぇかなって」

それを聞いて悲しそうな顔をするクレニ。

自分でも言ってて少し驚いた。
まだ、心の底ではクソ親父に認めてもらいたいって感情があったんだなって。

「辛かったらいつでもあたしは傍に居てあげるからね。メイドの方がいいのかもしれないけどっ」

「ははっ、ありがとう」

「今日は何かするの? 」

「昨日一日休んじゃったし、ちゃちゃっと広場を作ってくる」

「ちゃちゃっとって……そんな簡単に出来るものじゃないでしょ。あたしも手伝うよ? 暇だし」

うーん?

「一時間もあったら終わると思うよ? 外暑いしクレニは部屋でゆっくりしててー」

「い、一時間って……いや、レン君ならやりかねないか。変にあたしが居て邪魔になってもあれだし、じゃあここで待っとくね! 帰ってきたらあたしと……あたしと二人っきりでお風呂入りましょ! 頑張ってきてね!! 」

クレニはそう言うと、俺の返答も待たずにぴゅーーーとマンガみたいに足を竜巻にしながら食堂を出ていった。

そんなにお風呂を気に入ってくれたのは嬉しいけど、なんでわざわざ俺と入りたがるんだろう? 今からでも一人で朝風呂入ればいいのに。