馬車で揺られること数時間。
リーナと談笑をしていたのだが、心地よい馬車の揺れも相まっていつの間にか眠ってしまっていた。
耳元で囁かれ、目を覚ましたのだが何故か俺は膝枕をされていた。
おかしい、寝る前は真正面に居たはずだ。
「寝づらそうにされておられましたので膝枕してみました。気分はいかがでしょうか? 」
「うーん、上々。てかちょっと恥ずい」
「私達以外誰も居ないのですから何も恥ずかしがることはないでしょう」
「いや御者さんが……」
「御者は手綱をしっかりと持ち、支えることに集中してますし、なによりよそ見して真後ろを見ようものなら大事故に繋がりかねませんよ」
正論をカマされてぐうの音も出ない。確かに言う通りだ。
身体を起こし、リーナの隣に座る形になる。
「ヘレクス領まであとどのくらいだろうな」
「そうですね、私も気になるので聞いてみます」
そう言うとリーナは立ち上がり、窓から顔を出して御者に問いかける。
「あとどのくらいで着きますでしょうか? 」
御者さんはんー、と悩み唸ったあと、答える。
「このまま何事も無ければ20分程度で到着する予定です」
「ありがとうございます」
20分か。レジエント王国からヘレクス領まではかなりの距離があったはず。それを考えると一つの疑問が残る。
一体俺、何時間寝てたんだ……。
「ざっと6時間以上は寝ておられましたね。すやすやと寝息をたてながら、私の膝の上で安心しきってました」
「ま、まじか……ろ、6時間。ず、ずっと膝枕してたのか? 」
流石にそんな訳ないだろうと考えながらも聞いてみるが、帰ってきた答えは……。
「はい、最初から最後まで膝枕してました」
「そ、そうか。あんがとな……」
まだ20分あるみたいだしもう一眠りしようとしてたのだが、また隙を晒すと膝枕されかねない。いや別に膝枕が嫌という訳ではないんだが。
膝枕されっぱなしの男ってのはちょっとな。しかしさっきのあの柔らかい太ももの感触も忘れられず……。
脳内の甘い誘惑と闘っているとまもなく、ヘレクス領の付近まで着いたと報告が上がったのだった。
「すいませんが流石にこれ以上は近づけないので、ここら辺にて失礼させていただきます。こんな辺境に何故……いえ、詮索するのは失礼ですね。それでは」
そう言うと俺たちを降ろして、来た道を去っていった。
そんなにヘレクス領に近づきたくないもんなのかね。
噂でしか聞いたことないからよくわからん。
まぁいい、ここからは歩いて進んでいこう。
御者の人いわく、数分程度歩けばいいとのことだったし。
えぇと地図、地図。
流石に道に迷うことはないだろうけど一応。
【アイテムボックス】から地図を探すがなかなか見つからない。
「なんでもかんでも適当に詰め込むからですよ。はい、こちらをどうぞ」
メイド服のポケットから四つ折りのモノを取り出し、差し出してきた。それを受け取ってひらげる。
「おおー地図……って、この赤線と丸印二つは……」
渡された地図にはなんと通ってきた道には太線が引かれ、現在地と思われる場所と、ヘレクス領と書かれてる場所に○が書かれており、予測到着時刻まで綺麗な時で記されている。
このメイド、完璧すぎる。
「レン様の専属メイドたるもの当然の仕事です。それとですね、寝起きだから仕方ないかもしれませんが、《サーチ》を使えばレン様も同じことが出来るでしょう。まぁ、お疲れの時にそんな面倒させようものならメイド失格ですので私がしましたが」
あ、確かにそうだ。サーチ使えば楽だった。と、それはそうなんだが、何故頭を出てくるんだ。
よく分からんが、ずっと出したままなので撫でてみたら、顔を赤くしながらも
「あ、ああありがとうございましゅ……」
と喜んでくれたので、よかった。
こんなことで喜んでくれるならこれからもしようと思ったのであった。
歩くこと数分。
リーナの予測時間ぴったしに着いたのは言うまでもない。
さて、俺たちの眼下にはヘレクス領があるわけだが。
「なぁ、これから領主になる人間が言っていい言葉じゃねぇかもしれないが言ってもいいか? 」
「別に何を言っても構わないでしょう。領主なのですから」
「いやそんな暴君領主みたいなことはしないけどね? 」
「あら、違うのですか? 私としてはあのクソ国王に今まで抑えられていた分の鬱憤を晴らすべく、暴君領主として君臨して好き放題のあまりを尽くされてもいいと考えてますが」
「そんなことしねーからな!? 領民と支えあって領地経営していくつもりだぞ!? 」
目の前の光景を見るに領民がいるのかすら疑問だが。
「そうですか、やはりレン様はお優しいですね」
「せんきゅーな。優しいって言われた直後だから言いづらいが」
すぅぅぅーーー、と息を吸って俺の出せる精一杯の大声で叫んだ。
「ほんとに領地かよここおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!! 」
リーナと談笑をしていたのだが、心地よい馬車の揺れも相まっていつの間にか眠ってしまっていた。
耳元で囁かれ、目を覚ましたのだが何故か俺は膝枕をされていた。
おかしい、寝る前は真正面に居たはずだ。
「寝づらそうにされておられましたので膝枕してみました。気分はいかがでしょうか? 」
「うーん、上々。てかちょっと恥ずい」
「私達以外誰も居ないのですから何も恥ずかしがることはないでしょう」
「いや御者さんが……」
「御者は手綱をしっかりと持ち、支えることに集中してますし、なによりよそ見して真後ろを見ようものなら大事故に繋がりかねませんよ」
正論をカマされてぐうの音も出ない。確かに言う通りだ。
身体を起こし、リーナの隣に座る形になる。
「ヘレクス領まであとどのくらいだろうな」
「そうですね、私も気になるので聞いてみます」
そう言うとリーナは立ち上がり、窓から顔を出して御者に問いかける。
「あとどのくらいで着きますでしょうか? 」
御者さんはんー、と悩み唸ったあと、答える。
「このまま何事も無ければ20分程度で到着する予定です」
「ありがとうございます」
20分か。レジエント王国からヘレクス領まではかなりの距離があったはず。それを考えると一つの疑問が残る。
一体俺、何時間寝てたんだ……。
「ざっと6時間以上は寝ておられましたね。すやすやと寝息をたてながら、私の膝の上で安心しきってました」
「ま、まじか……ろ、6時間。ず、ずっと膝枕してたのか? 」
流石にそんな訳ないだろうと考えながらも聞いてみるが、帰ってきた答えは……。
「はい、最初から最後まで膝枕してました」
「そ、そうか。あんがとな……」
まだ20分あるみたいだしもう一眠りしようとしてたのだが、また隙を晒すと膝枕されかねない。いや別に膝枕が嫌という訳ではないんだが。
膝枕されっぱなしの男ってのはちょっとな。しかしさっきのあの柔らかい太ももの感触も忘れられず……。
脳内の甘い誘惑と闘っているとまもなく、ヘレクス領の付近まで着いたと報告が上がったのだった。
「すいませんが流石にこれ以上は近づけないので、ここら辺にて失礼させていただきます。こんな辺境に何故……いえ、詮索するのは失礼ですね。それでは」
そう言うと俺たちを降ろして、来た道を去っていった。
そんなにヘレクス領に近づきたくないもんなのかね。
噂でしか聞いたことないからよくわからん。
まぁいい、ここからは歩いて進んでいこう。
御者の人いわく、数分程度歩けばいいとのことだったし。
えぇと地図、地図。
流石に道に迷うことはないだろうけど一応。
【アイテムボックス】から地図を探すがなかなか見つからない。
「なんでもかんでも適当に詰め込むからですよ。はい、こちらをどうぞ」
メイド服のポケットから四つ折りのモノを取り出し、差し出してきた。それを受け取ってひらげる。
「おおー地図……って、この赤線と丸印二つは……」
渡された地図にはなんと通ってきた道には太線が引かれ、現在地と思われる場所と、ヘレクス領と書かれてる場所に○が書かれており、予測到着時刻まで綺麗な時で記されている。
このメイド、完璧すぎる。
「レン様の専属メイドたるもの当然の仕事です。それとですね、寝起きだから仕方ないかもしれませんが、《サーチ》を使えばレン様も同じことが出来るでしょう。まぁ、お疲れの時にそんな面倒させようものならメイド失格ですので私がしましたが」
あ、確かにそうだ。サーチ使えば楽だった。と、それはそうなんだが、何故頭を出てくるんだ。
よく分からんが、ずっと出したままなので撫でてみたら、顔を赤くしながらも
「あ、ああありがとうございましゅ……」
と喜んでくれたので、よかった。
こんなことで喜んでくれるならこれからもしようと思ったのであった。
歩くこと数分。
リーナの予測時間ぴったしに着いたのは言うまでもない。
さて、俺たちの眼下にはヘレクス領があるわけだが。
「なぁ、これから領主になる人間が言っていい言葉じゃねぇかもしれないが言ってもいいか? 」
「別に何を言っても構わないでしょう。領主なのですから」
「いやそんな暴君領主みたいなことはしないけどね? 」
「あら、違うのですか? 私としてはあのクソ国王に今まで抑えられていた分の鬱憤を晴らすべく、暴君領主として君臨して好き放題のあまりを尽くされてもいいと考えてますが」
「そんなことしねーからな!? 領民と支えあって領地経営していくつもりだぞ!? 」
目の前の光景を見るに領民がいるのかすら疑問だが。
「そうですか、やはりレン様はお優しいですね」
「せんきゅーな。優しいって言われた直後だから言いづらいが」
すぅぅぅーーー、と息を吸って俺の出せる精一杯の大声で叫んだ。
「ほんとに領地かよここおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!! 」