何故か知らんが、大泣きされた。
困惑しながらも聖女ちゃんの背中をさすっていると、後から二人の女性がやってきた。
「クレニちゃん、大丈夫!? ……え? 」
「おいっ、生きてるか……は? 」
「えっ、君らなんでこんなところにいんの」
その二人も俺が知っている人物だった。
賢者のマーリンと汚部屋住みの研究者的なレミナ。
それと、まだ泣いてる聖女ちゃんことクレニ。
「ま〜それは後でもいいじゃない。関東の再会が先よ」
「いや〜一瞬どうなることかと思ったけど、レンはやっぱかっけぇな! あのタイミングでやってくるのはまさひヒーロー! 流石俺様が見込んだ男! 」
「うーん、まぁ後でもいいんだけど俺としてはこんな辺境によくやってきたねって? レミナは半分ニートとしても、聖女ちゃんとマーリンは仕事大丈夫なの? それと、聖女ちゃん? そろそろ離れてくれると嬉しいんだが」
そう言うと、やっと顔を離してくれた。
さんざん泣きぐずった顔は、涙や鼻水でぐちゃぐちゃになっていたので、ポケットからハンカチを取り出して、拭いてあげる。
「少しは落ち着いた? 」
「うん……ごめんね服汚しちゃって」
「俺の服の心配はしなくていいんだけど、それより君が心配だよ? 」
「助けてくれて……ありがと……ほんとに怖かったよ……てか絶対死んだと思ってたよ。あの瞬間は……うっ」
「思い出させるような真似をしてすまん。怖かったよな。そうだ、聖女ちゃんが良ければだけど、今の記憶を消す魔法があるんだけど、使う? 」
「そんな魔法まで使えるなんて、やっぱあたしの想像以上にレン君って凄かったんだね。でも、この記憶は消さなくていいよ」
「トラウマになったりしちゃう前に消した方がいいかなって思ったけど大丈夫なの? 」
「トラウマになりそうなくらい怖かったけど、それ以上にレン君が助けてくれたことが嬉しかったから……これはトラウマなんかじゃなくて思い出だよ」
「そっか、間に合ってよかったよ。立てる? 」
「……まだ足は震えてるけど、手繋いでくれるなら」
「そんなことでいいなら、ほらっ」
俺は立ち上がって、聖女ちゃんに手を差し出す。
「ありがとっ! 」
手を握ってゆっくりと立ち上がる。
上手く立ち上がれたようなので、手を離そうとするが、何故かぎゅっと握られている。
「あの、聖女ちゃん? 」
「いいでしょ別に! 手くらい繋いでいても」
そう言われては、断る理由も無い。
観察するとまだ少し足が震えているし、先程の光景がフラッシュバックしたら倒れてしまうかもしれない。
それを考えると、手を繋いでいた方が合理的だ。
聖女ちゃんもそう考えたのだろう。
そうなのであれば……
「聖女ちゃんよ、腕まで組んでくる理由は無いんじゃないか」
「えーだめ?」
「いいけど」
そんな悲しそうな顔されて断れる人間って居るのだろうか。
「なんかマーリンたちの存在がシャットアウトされてるような気がしてならない」
「若いもの同士のイチャつきに水差すもんじゃねーよ、マーリン」
「いやマーリンたちも十分若いでしょ〜!? 」
「そう……だといいな。あ、俺様は確かにまだ若者の分類かもな! 」
「それマーリンが若くないって言いたいの」
「だって実際お前」
「それ以上言ったら殺すわよ? 」
「すまん。調子乗った」
「ちょっとお前ら喧嘩すんな。お前らとまたこうやって会えて嬉しいんだから」
「あら? ほんとにそう思ってくれてるの? 」
「そりゃそうだよ。だって聖女ちゃんも含めて、もう皆とは会えないって思ってたからな。偶然か知らないけど嬉しいよ」
「それはあたしのセリフよ! 一緒に食事する約束したのに、何も言わずにこんなところに来てるんだもん」
「皆に何も伝えずに出ていってすまなかった。ほんとは皆に挨拶してから行きたかったんだけどな。三人がここに来たのは任務かなんかか? 」
「いや? レン君に会うためにきたのよ」
「俺に会うためだけにこんなとこまで来てくれたのか……まだ領地としてあまり発展してないけど、数日皆が泊まれるだけの環境はあるからゆっくりしていってくれ」
三人が首を傾げる。
「レン君なんか勘違いしてない? 」
「勘違い……? あっ、日帰りでの任務だったのか」
「いやそうじゃなくて、あたしたち任務でもなんでもないわよ。あたしら全員ここ住むわよ? 」
「え? 」
この聖女ちゃんは何を言ってるんだ。
「皆仕事あるだろ? あ、レミナはないから心配ないか」
「今日辞めたわよ。もう王国としての聖女じゃないからあの教会にいる必要もないし、これでどこに住もうが自由になったのよ」
「同じくマーリンも辞めたわよ。これからはレン君だけの賢者になったのよ♡ 」
「俺様はこいつらが押しかけてきたから成り行きで来たけど、あっちにいる理由も特にないしここに住む」
「や、やめた? 聖女と賢者ってそんな簡単に辞めれるもんなの」
そんな当たり前でしょ? みたいな顔で言われても理解が追いつかない。かなり重要な役職が今日だけで二人も辞めてでていった王都は大丈夫なのだろうか。というかクソ親父ーーーあの国王がすんなり手放すとは思えない。どうやって辞めてきたんだ?
「二人で一緒に国王に辞表突きつけて喧嘩して、ここに来たわ」
「なにしてんの!? 」
二人とも可愛い顔してとんでもないことしでかしてないか。
「そ、そうだ。理由を聞いてなかったけど、なんで辞めたの? 」
聖女ちゃん……元聖女ちゃんは、あの教会は合わないだろうし、いつか辞めて自由に生きて欲しいとは思っていたが、まさかほんとに辞めるとは思わない。
マーリンは城の皆といい関係を築いていたし、不思議だ。
「聖女ちゃんでも元聖女ちゃんでもなくて、クレニって呼んで欲しい。それで辞めた理由だけど、レン君と一緒に居たかったから……これってやっぱりおかしい理由かな。ちなみにマーリンも同じ理由よ」
「おかしくはない……いやおかしい気もするけどわかったよ。一緒にこの領地を支えてくれたら嬉しい」
「わかったわ! これからはヘレクス領の聖女ちゃんね。頑張るわよ」
「もしマーリン達のせいでこの領地が危険に晒されるようなことになったら、マーリンが全て責任を取るわ」
「いや、元をいえば俺の責任だし、そんな時がもし来たら俺が何とかするよ」
俺のことが大嫌いなあいつらだけど、俺のせいで重要人物達が辞めていったとしても、怒りの矛先を領地に向けて攻撃するなんてことはしないと信じたい。あの人たちは腐ってもこの国を収めてる国王と王子たちだしな。
それでも、もし人として外れた真似、俺の大事な領地にちょっかいをかけようものなら、その時は潰す。
まぁけど、そんなことはないだろうし、心配しなくていいだろう。今は、新たにヘレクス領の仲間となった聖女と賢者と……ニート? を歓迎しよう。
(相変わらずクレニに腕組みをされたままではあるが)皆でヘレクス領へと歩いていった。
困惑しながらも聖女ちゃんの背中をさすっていると、後から二人の女性がやってきた。
「クレニちゃん、大丈夫!? ……え? 」
「おいっ、生きてるか……は? 」
「えっ、君らなんでこんなところにいんの」
その二人も俺が知っている人物だった。
賢者のマーリンと汚部屋住みの研究者的なレミナ。
それと、まだ泣いてる聖女ちゃんことクレニ。
「ま〜それは後でもいいじゃない。関東の再会が先よ」
「いや〜一瞬どうなることかと思ったけど、レンはやっぱかっけぇな! あのタイミングでやってくるのはまさひヒーロー! 流石俺様が見込んだ男! 」
「うーん、まぁ後でもいいんだけど俺としてはこんな辺境によくやってきたねって? レミナは半分ニートとしても、聖女ちゃんとマーリンは仕事大丈夫なの? それと、聖女ちゃん? そろそろ離れてくれると嬉しいんだが」
そう言うと、やっと顔を離してくれた。
さんざん泣きぐずった顔は、涙や鼻水でぐちゃぐちゃになっていたので、ポケットからハンカチを取り出して、拭いてあげる。
「少しは落ち着いた? 」
「うん……ごめんね服汚しちゃって」
「俺の服の心配はしなくていいんだけど、それより君が心配だよ? 」
「助けてくれて……ありがと……ほんとに怖かったよ……てか絶対死んだと思ってたよ。あの瞬間は……うっ」
「思い出させるような真似をしてすまん。怖かったよな。そうだ、聖女ちゃんが良ければだけど、今の記憶を消す魔法があるんだけど、使う? 」
「そんな魔法まで使えるなんて、やっぱあたしの想像以上にレン君って凄かったんだね。でも、この記憶は消さなくていいよ」
「トラウマになったりしちゃう前に消した方がいいかなって思ったけど大丈夫なの? 」
「トラウマになりそうなくらい怖かったけど、それ以上にレン君が助けてくれたことが嬉しかったから……これはトラウマなんかじゃなくて思い出だよ」
「そっか、間に合ってよかったよ。立てる? 」
「……まだ足は震えてるけど、手繋いでくれるなら」
「そんなことでいいなら、ほらっ」
俺は立ち上がって、聖女ちゃんに手を差し出す。
「ありがとっ! 」
手を握ってゆっくりと立ち上がる。
上手く立ち上がれたようなので、手を離そうとするが、何故かぎゅっと握られている。
「あの、聖女ちゃん? 」
「いいでしょ別に! 手くらい繋いでいても」
そう言われては、断る理由も無い。
観察するとまだ少し足が震えているし、先程の光景がフラッシュバックしたら倒れてしまうかもしれない。
それを考えると、手を繋いでいた方が合理的だ。
聖女ちゃんもそう考えたのだろう。
そうなのであれば……
「聖女ちゃんよ、腕まで組んでくる理由は無いんじゃないか」
「えーだめ?」
「いいけど」
そんな悲しそうな顔されて断れる人間って居るのだろうか。
「なんかマーリンたちの存在がシャットアウトされてるような気がしてならない」
「若いもの同士のイチャつきに水差すもんじゃねーよ、マーリン」
「いやマーリンたちも十分若いでしょ〜!? 」
「そう……だといいな。あ、俺様は確かにまだ若者の分類かもな! 」
「それマーリンが若くないって言いたいの」
「だって実際お前」
「それ以上言ったら殺すわよ? 」
「すまん。調子乗った」
「ちょっとお前ら喧嘩すんな。お前らとまたこうやって会えて嬉しいんだから」
「あら? ほんとにそう思ってくれてるの? 」
「そりゃそうだよ。だって聖女ちゃんも含めて、もう皆とは会えないって思ってたからな。偶然か知らないけど嬉しいよ」
「それはあたしのセリフよ! 一緒に食事する約束したのに、何も言わずにこんなところに来てるんだもん」
「皆に何も伝えずに出ていってすまなかった。ほんとは皆に挨拶してから行きたかったんだけどな。三人がここに来たのは任務かなんかか? 」
「いや? レン君に会うためにきたのよ」
「俺に会うためだけにこんなとこまで来てくれたのか……まだ領地としてあまり発展してないけど、数日皆が泊まれるだけの環境はあるからゆっくりしていってくれ」
三人が首を傾げる。
「レン君なんか勘違いしてない? 」
「勘違い……? あっ、日帰りでの任務だったのか」
「いやそうじゃなくて、あたしたち任務でもなんでもないわよ。あたしら全員ここ住むわよ? 」
「え? 」
この聖女ちゃんは何を言ってるんだ。
「皆仕事あるだろ? あ、レミナはないから心配ないか」
「今日辞めたわよ。もう王国としての聖女じゃないからあの教会にいる必要もないし、これでどこに住もうが自由になったのよ」
「同じくマーリンも辞めたわよ。これからはレン君だけの賢者になったのよ♡ 」
「俺様はこいつらが押しかけてきたから成り行きで来たけど、あっちにいる理由も特にないしここに住む」
「や、やめた? 聖女と賢者ってそんな簡単に辞めれるもんなの」
そんな当たり前でしょ? みたいな顔で言われても理解が追いつかない。かなり重要な役職が今日だけで二人も辞めてでていった王都は大丈夫なのだろうか。というかクソ親父ーーーあの国王がすんなり手放すとは思えない。どうやって辞めてきたんだ?
「二人で一緒に国王に辞表突きつけて喧嘩して、ここに来たわ」
「なにしてんの!? 」
二人とも可愛い顔してとんでもないことしでかしてないか。
「そ、そうだ。理由を聞いてなかったけど、なんで辞めたの? 」
聖女ちゃん……元聖女ちゃんは、あの教会は合わないだろうし、いつか辞めて自由に生きて欲しいとは思っていたが、まさかほんとに辞めるとは思わない。
マーリンは城の皆といい関係を築いていたし、不思議だ。
「聖女ちゃんでも元聖女ちゃんでもなくて、クレニって呼んで欲しい。それで辞めた理由だけど、レン君と一緒に居たかったから……これってやっぱりおかしい理由かな。ちなみにマーリンも同じ理由よ」
「おかしくはない……いやおかしい気もするけどわかったよ。一緒にこの領地を支えてくれたら嬉しい」
「わかったわ! これからはヘレクス領の聖女ちゃんね。頑張るわよ」
「もしマーリン達のせいでこの領地が危険に晒されるようなことになったら、マーリンが全て責任を取るわ」
「いや、元をいえば俺の責任だし、そんな時がもし来たら俺が何とかするよ」
俺のことが大嫌いなあいつらだけど、俺のせいで重要人物達が辞めていったとしても、怒りの矛先を領地に向けて攻撃するなんてことはしないと信じたい。あの人たちは腐ってもこの国を収めてる国王と王子たちだしな。
それでも、もし人として外れた真似、俺の大事な領地にちょっかいをかけようものなら、その時は潰す。
まぁけど、そんなことはないだろうし、心配しなくていいだろう。今は、新たにヘレクス領の仲間となった聖女と賢者と……ニート? を歓迎しよう。
(相変わらずクレニに腕組みをされたままではあるが)皆でヘレクス領へと歩いていった。