一休みした後、領主の部屋にて。
俺は頭を抱えていた。
とりあえずそれっぽいことをしようと、席に着いたはいいんだが何をすればいいのやらさっぱりだ。
「失礼します! 」
トメリルが部屋に入ってきた。
「ちょうど良かった。どんなことをすれば良いのか教えて欲しかったんだ」
「そうですよね! レン様は領主生活1日目ですし、今日はゆっくりしてもらおうと思っていたのですが、何せ緊急事態でして」
「な、なんだ緊急事態って!? 」
部屋に入ってきた際に微かに息切れを起こしていたし、緊迫した面持ちだったので、なにかあったのだろうとは思っていたが緊急事態だとは。
「そ、それが……魔物が森から降りてきて、領地付近に近づいてきているのです!! 戦闘能力の無い者は家から出ないように通達し、狩りに出ていた者には戻ってくるように連絡を入れに行きました」
「とりあえずそこに行く、案内してくれ」
「わ、分かりました!! こちらです」
まじかよ、嫌な予感はしていたが、まさか栄えある領主就任一日目にやってくるとは。
しかもトメリルの口ぶり的に、本当は今日は一日休みっぽかった。
魔物め、俺の貴重な休みを潰しやがって! 絶対許さん!
外に出ると剣や杖などを持った領民たちが、入口付近に集まっていた。
魔物はちょっとハナタレ箇所に居て、こちらに近づいてきている。もう少し遅れていたら戦闘が始まっていただろう。
俺がやってくると領民たちが声を上げた。
「りょ、領主様!!? 」
「領主様は錬金術師であらせられましたよね!? 危険ですので、ここは私たちにお任せ下さい」
「ば、バカ何言ってんだお前! ガークとのあの闘い見てねぇのか? 領主様は魔法も一流だったんだぞ! 」
「カッコつけてねぇでここは領主様に任せた方がいいだろ! 」
け、喧嘩すんな……。魔物も呆れてるぞ。
てか背中を向けるなよ、殺されるぞほんとに。
「てめぇらレンが来て安心するのはいいけど、敵に背ぇ向けんなって前も言っただろ」
「ガーク! 」
ガークがマトモな事言ってる……。初対面があれだっただけに意外だ。
「喧嘩うってんのか」
「すまんって!! 」
怖! 心の中読まれた!?
領民たちの合間を縫って1歩前に出て、【アイテムボックス】から【魔剣】を取り出す。
右手には禍々しいオーラを放っている黒紫の大剣。
こいつが【魔剣】羅刹(らせつ)だ。
ひと振りするだけで大抵の魔物は倒せるし、この魔剣の効果で倒したヤツを【吸収】してそいつが持ってた効果が付与されるというとんでもない代物だ。
なんでこんな武器を持っているのか?と思うだろう。
「な、なんだあの武器」
「ねぇ、めっちゃオーラ放ってるんだけど気の所為……よね? 」
「あれって封印された伝説の魔剣に似てる気が……」
「あの1000年前に魔王が使っていたとされる、あの!? 」
「あれだけ禍々しいオーラが放たれてるんだ、間違いないだろう」
「でも、ならなんで領主様が持っているの? 王国で厳重に保管されてるはずじゃ……」
「確か王国の中でもトップクラスの、王国結界魔術師が封印を厳重な結界を施したと話題になってたよな」
話が盛り上がってきており、この場の全員の顔が俺の右手にある【魔剣】に釘付けとなっている。
「あーこれ気になる? 」
「「「そりゃ気になりますよ!? 」」」
そうかー、気になっちゃうかー。
あんま持ち主にバラすなって言われてたんだけどな、なんかノリで取り出しちゃったし、説明するしかないよなー。
「一つ一つ質問に答えてくけど、最初に出てきてた通りこれは【魔剣】であってるぜ。正式名称はなんか長ったらしい横文字だったけど、長くて呼ぶのがめんどくせーから、羅刹(らせつ)って俺は名付けた。んで次、1000年前に魔王が使ってた云々、これも正解。王国で結界魔術師によって封印されていたのもあってる」
「で、では何故レン様がお持ちなのでしょうか? 」
おずおずと聞いてくる一人の領民。
「その結界魔術師の長が俺の誕生日にプレゼントとしてくれた」
キミなら扱えるだろうし、ぶっちゃけボクの結界魔術よりキミの【アイテムボックス】の方が安全だからねっ♡とポイッと渡された。
「プ、プレゼントで魔剣を貰ったぁぁぁ!?!? 」
「そ、その国王様から許可は出たのですか!? 」
「んや、多分無断だぞ。地下の奥深くの部屋に封印されてたんだが、親父も含めてほぼ誰も近寄ることは無かったからなー、今も気づいてないんじゃねーかな。あ、おめーらもこれ内緒にしててくれよ? 」
ソフィアちゃんが怒られちまうからな。
あ、話の結界魔術師長の名前ね。
「も、もももももちろんです!! 」
「まず王国に近寄ることが無いので!!! 」
「今日見た光景は墓まで持っていきます!! 」
クビがもげるんじゃねぇかってくらい頷いている。
んじゃ、話も終わったし魔物ワンパンしますか!
あれ? あんだけ大口叩いて「魔物に背中を見せるな」なんて言ってたのにお前もじゃねーかって?
俺には背中にも【眼】があるから見えてるんだぜ。しかも普通の【目】じゃない特別なヤツがな。
これもめっちゃ強い効果あんだが、今回は使うまでもない。
「領主様! 後ろ!! 」
「ん? 大丈夫だ、視えてるぜ」
後ろに手をやり、襲いかかってきていた魔物の頭を掴む。そして、空中に投げ込む。
「グガァァァァァ」
そして魔剣をひと振り。それだけで魔物は胴体から真っ二つになり、ボトンボトンと落ちてきた。
「え、弱くね? 」
Sランク級の魔物なんじゃなかったのか? 明らかに弱すぎるんだが。
Cランクくらいの魔物が森のSランクの魔物に追い出されてこっちにやってきたのかね?
真相はよく分からんが、魔物騒動は一分くらいで終わったのだった。
俺は頭を抱えていた。
とりあえずそれっぽいことをしようと、席に着いたはいいんだが何をすればいいのやらさっぱりだ。
「失礼します! 」
トメリルが部屋に入ってきた。
「ちょうど良かった。どんなことをすれば良いのか教えて欲しかったんだ」
「そうですよね! レン様は領主生活1日目ですし、今日はゆっくりしてもらおうと思っていたのですが、何せ緊急事態でして」
「な、なんだ緊急事態って!? 」
部屋に入ってきた際に微かに息切れを起こしていたし、緊迫した面持ちだったので、なにかあったのだろうとは思っていたが緊急事態だとは。
「そ、それが……魔物が森から降りてきて、領地付近に近づいてきているのです!! 戦闘能力の無い者は家から出ないように通達し、狩りに出ていた者には戻ってくるように連絡を入れに行きました」
「とりあえずそこに行く、案内してくれ」
「わ、分かりました!! こちらです」
まじかよ、嫌な予感はしていたが、まさか栄えある領主就任一日目にやってくるとは。
しかもトメリルの口ぶり的に、本当は今日は一日休みっぽかった。
魔物め、俺の貴重な休みを潰しやがって! 絶対許さん!
外に出ると剣や杖などを持った領民たちが、入口付近に集まっていた。
魔物はちょっとハナタレ箇所に居て、こちらに近づいてきている。もう少し遅れていたら戦闘が始まっていただろう。
俺がやってくると領民たちが声を上げた。
「りょ、領主様!!? 」
「領主様は錬金術師であらせられましたよね!? 危険ですので、ここは私たちにお任せ下さい」
「ば、バカ何言ってんだお前! ガークとのあの闘い見てねぇのか? 領主様は魔法も一流だったんだぞ! 」
「カッコつけてねぇでここは領主様に任せた方がいいだろ! 」
け、喧嘩すんな……。魔物も呆れてるぞ。
てか背中を向けるなよ、殺されるぞほんとに。
「てめぇらレンが来て安心するのはいいけど、敵に背ぇ向けんなって前も言っただろ」
「ガーク! 」
ガークがマトモな事言ってる……。初対面があれだっただけに意外だ。
「喧嘩うってんのか」
「すまんって!! 」
怖! 心の中読まれた!?
領民たちの合間を縫って1歩前に出て、【アイテムボックス】から【魔剣】を取り出す。
右手には禍々しいオーラを放っている黒紫の大剣。
こいつが【魔剣】羅刹(らせつ)だ。
ひと振りするだけで大抵の魔物は倒せるし、この魔剣の効果で倒したヤツを【吸収】してそいつが持ってた効果が付与されるというとんでもない代物だ。
なんでこんな武器を持っているのか?と思うだろう。
「な、なんだあの武器」
「ねぇ、めっちゃオーラ放ってるんだけど気の所為……よね? 」
「あれって封印された伝説の魔剣に似てる気が……」
「あの1000年前に魔王が使っていたとされる、あの!? 」
「あれだけ禍々しいオーラが放たれてるんだ、間違いないだろう」
「でも、ならなんで領主様が持っているの? 王国で厳重に保管されてるはずじゃ……」
「確か王国の中でもトップクラスの、王国結界魔術師が封印を厳重な結界を施したと話題になってたよな」
話が盛り上がってきており、この場の全員の顔が俺の右手にある【魔剣】に釘付けとなっている。
「あーこれ気になる? 」
「「「そりゃ気になりますよ!? 」」」
そうかー、気になっちゃうかー。
あんま持ち主にバラすなって言われてたんだけどな、なんかノリで取り出しちゃったし、説明するしかないよなー。
「一つ一つ質問に答えてくけど、最初に出てきてた通りこれは【魔剣】であってるぜ。正式名称はなんか長ったらしい横文字だったけど、長くて呼ぶのがめんどくせーから、羅刹(らせつ)って俺は名付けた。んで次、1000年前に魔王が使ってた云々、これも正解。王国で結界魔術師によって封印されていたのもあってる」
「で、では何故レン様がお持ちなのでしょうか? 」
おずおずと聞いてくる一人の領民。
「その結界魔術師の長が俺の誕生日にプレゼントとしてくれた」
キミなら扱えるだろうし、ぶっちゃけボクの結界魔術よりキミの【アイテムボックス】の方が安全だからねっ♡とポイッと渡された。
「プ、プレゼントで魔剣を貰ったぁぁぁ!?!? 」
「そ、その国王様から許可は出たのですか!? 」
「んや、多分無断だぞ。地下の奥深くの部屋に封印されてたんだが、親父も含めてほぼ誰も近寄ることは無かったからなー、今も気づいてないんじゃねーかな。あ、おめーらもこれ内緒にしててくれよ? 」
ソフィアちゃんが怒られちまうからな。
あ、話の結界魔術師長の名前ね。
「も、もももももちろんです!! 」
「まず王国に近寄ることが無いので!!! 」
「今日見た光景は墓まで持っていきます!! 」
クビがもげるんじゃねぇかってくらい頷いている。
んじゃ、話も終わったし魔物ワンパンしますか!
あれ? あんだけ大口叩いて「魔物に背中を見せるな」なんて言ってたのにお前もじゃねーかって?
俺には背中にも【眼】があるから見えてるんだぜ。しかも普通の【目】じゃない特別なヤツがな。
これもめっちゃ強い効果あんだが、今回は使うまでもない。
「領主様! 後ろ!! 」
「ん? 大丈夫だ、視えてるぜ」
後ろに手をやり、襲いかかってきていた魔物の頭を掴む。そして、空中に投げ込む。
「グガァァァァァ」
そして魔剣をひと振り。それだけで魔物は胴体から真っ二つになり、ボトンボトンと落ちてきた。
「え、弱くね? 」
Sランク級の魔物なんじゃなかったのか? 明らかに弱すぎるんだが。
Cランクくらいの魔物が森のSランクの魔物に追い出されてこっちにやってきたのかね?
真相はよく分からんが、魔物騒動は一分くらいで終わったのだった。