その晩は一緒に居酒屋に行った。南の島で過ごす大学生の夏休みということもあり、僕たちはかなり浮かれていた。そして、そのノリで、一週間後に東京で飲み会をする約束までしてしまった。
 一週間後、東京で再会した僕らは八重山の思い出話を中心に色々な話に花を咲かせった。その後、カラオケにも行った。僕は相変わらず沖縄系の歌を歌っていたが、他の三人はそれぞれ自分の好きな歌を歌っていた。
 歌に優劣はないと僕は思っている。しかし、サウンドが優先で歌詞にあまり意味がなかったり、妙に甘ったるい表現が出てきたり、頻繁におかしな英語が出てくる最近の歌の多くは僕の好みではなかった。しかし、それらの歌はみんな売れているのだから、僕が作った誰も知らない歌に比べれば遥かに優れていると言わざるを得ないこともまた事実だった。
 もちろん、カラオケの最中にそんなことを考えていた訳ではなく、カラオケも、その前の飲み会も楽しかった。四人で石垣を回ったとことも、再会の宴を楽しんだことも間違いなく僕にとっては良い思い出だ。
 感動の再会を果たした宏君と早苗ちゃんは、これから間違いなく恋人同士になるのだろうと思った。しかし、僕たち四人が顔を合わせたのはそれが最後で、その後は連絡を取り合うことはなかった。だから宏君と早苗ちゃんがどうなったのか僕は知らない。