それは去年の夏休みのことだった。ティダヌファハウスのユンタクで、たまたま僕を含む二人の男子学生と二人の女子大生が出会った。宏君、早苗さん、真由美さん、それに僕。全員大学一年生で、みんな一人旅だった。
 四人ともみな東京の大学生でということもあり、話が弾んだ。僕の三線に合わせて沖縄系の歌を一緒に歌ったりもして、すっかり大学の合コンのようなノリになっていた。
 その最中、まだ原付の免許しか持っていなかった早苗さんが、翌日はスクーターで石垣を一周するつもりだと言い出した。それならば四人でレンタカーを借りて島を回ろうという話になった。
 翌日、僕たちはレンタカーで島を回った。見る場所によって海の色が違う細い入り江の川平湾。石垣島の一番細い部分の両側の海岸線を見下ろせる玉取崎。地球が青い球体だと分かる最北端の平久保崎。僕たちはそれらの主だった観光地を巡った。移動中の車内はあれこれと話が尽きず賑やかだった。
 女子二人のリクエストにより、景色の良いジェラート屋や、美味しいという評判のケーキ屋にも立ち寄った。平久保﨑でもソフトクリームを食べたりと、男子としてはかなり甘ったるい旅でもあった。
 その当時、僕と真由美さんにはそれぞれ交際相手がいたが、宏君と早苗さんは共にフリーで、旅の最中に二人は急速に接近しているように見えた。