確かに真澄のいう通りだと僕は思った。かつて自らも創作に携わっていただけに的確な指摘だった。真澄の意見は更に続いた。
「今まで聴かせてもらった三曲はどれも良い歌だけれど、全部が旅での出会いと悲しいお別れの歌でしょ。だから、残りの六曲はそうじゃない歌を増やしていく必要があると思うの。そうね・・・」
 真澄は少し考えてから問いを投げかけてきた。
「ねえ、純さん、旅で出会った人と再会したこととかないの?」
 思い返してみると、そういうことが一度だけあった。しかし、それはたぶん真澄が期待するような再会ではなかった。
「なくはないかな」
「それ、どんな話?聞かせてみてくれない?」
「いいよ」
 僕はその時の話を真澄にすることにした。しかし、それは真澄にとって興味深いとは思えないすぐに終わる話だった。