「歌のヒロインのイメージは主に女子学生の方、やたら明るい子だったね。ティダヌファハウスで会った子だったこともあって、歌のタイトルは『ティダヌファ』にしたんだ。『ティダ』は『太陽』、『ヌ』は『の』、『ファ』は『子』、つまり『ティダヌファ』は『太陽の子』という意味なんだ。でも、僕はその子に対しても、もう一人の女性に対しても恋愛感情を持っていたわけじゃないんだ。だけど、良い思い出になったよ。天候にも恵まれて海も奇麗だったしね」
「なるほど、話を聞く限り前の二曲と比べて明るい歌みたいね」
「そういうこと。まあ、とにかく聴いてみてよ」
「うん」
 僕は三線の糸を巻くとイントロを弾き始めた。「ティダヌファ」は他の二曲と比べるとテンポも速くメロディーや歌詞も明るく作ってあった。イントロが過ぎ、耳を澄ましている真澄の隣で僕は歌い始めた。

 石垣の宿で会った君は正に 
 ほんのひと時の旅の道連れ
 離島桟橋から君と船に乗って 
 波しぶき浴びて行った小浜島
 大岳(うふだき)に登り島影を数えて 
 キビ畑抜けて着いた砂浜
 瑠璃色に輝く海から寄せる波 
 白い砂の上に続く足跡