「うん、服なんてほとんど買ったことが無かったし、映画もろくに見られなかった。テレビとかも買えなかったから、図書室で本を借りて読んでた。あと、恥ずかしいけど趣味で詩とか小説とか書いて懸賞とかに応募してたの。賞には全く縁がなかったけどね」
「なるほど、君も自分で詩とか書いていたんだね」
「そう、純さんが作った歌に興味が湧いたのは、そのせいもあると思う」
 真澄がそう言った後、僕は次の質問を少しためらったが聞かずにはいられなかった。
「それで、聞きにくいんだけど、君が死んだのは何歳の時?」
「十九歳の時よ」
 そう聞いて真澄が二十歳そこそこに見える理由がわかった。
「どうして死んじゃったの?病気か何か?」
 真澄はやや俯いてから、か細い声で答えた。
「私ね、自殺しちゃったの」
 それからゆっくりと真澄は自殺の理由を語りだした。その辛そうな声に僕は心が痛んだ。聞かなければ良かったかと少し後悔した。
「母が借金をして借金取りが私の所に来たの。私が学費のために貯めていたお金は全部借金取りにもって行かれちゃった」
「ひどい話だね。それで、それを苦にして命を絶ったということ?」