「ネットの口コミだよ。なんとなく『安らぎ』という言葉に魅かれたような覚えはあるけど、どんな内容だったかよく覚えていないくらいだから、真澄さんの言うように何か特別なものに引き寄せられたとは思えないな」
「そうなんだ」
 真澄はまだ諦めきれない口ぶりだった。
「うん、だから、僕たちの出会いは奇跡的ではあっても、運命とか導きとは無関係だと思うな」
 真澄は僕の主張をまだ疑っていた。
「本当にそうなのかしら?」
「そうだと思うよ」
「まあ、純さんがそう言うならば、そうなのかもしれないね。二人の出会いは素晴らしいものだっただから、きっかけなんてどうでもいいことかもね?」
 ようやく真澄も諦めたようだった。
「ああ、出会えたことが重要なんだから、それで良いと思うよ」
「そうね」
 自分を納得させるようにそう言ってから、真澄はこれでお開きと伝えてきた。
「じゃあ、私、今日はこれで失礼させてもらうわ。明日も仕事だから」
「そう、じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
 真澄の声はそこで途切れた。僕もそろそろ眠ろうかと思った。