真澄が作った冷やし中華は出来合いのスープを使ったものだったが、キュウリ、ハム、卵焼きといった定番のトッピングがきちんと並んでいてなかなかの味だった。
 片付けが終わったところで真澄は遠慮がちにお願いをしてきた。
「実は純さんが買い物に行っている間にこれから必要になるもののリストを作っておいたの。本当に申し訳ないんだけれど買ってきてくれるかな?」
「もちろんだよ。」
「じゃあ、これ」
 真澄は遠慮がちに僕にメモを差し出した。僕は真澄からメモを受け取り、それを畳んで財布の中に押し込んだ。
「少し大きめのバッグを持って行った方がいいと思うわ」
「そうだね」
 僕は言われた通り大きめのバッグを探すと、それを抱えてドアに向かった。
「いってらっしゃい。気を付けてね」
「ああ、行ってきます」
 部屋を出ると、僕はメモに書かれた日用品が置いてありそうな比較的近所のホームセンターに行き真澄のリストにある品物を買い揃えた。エプロンや弁当箱があることに笑ってしまった。真澄はこれから僕に弁当を作ってくれるつもりなのだ。手作りの弁当なんて一体いつ以来だろうかと思った。