「違うよ。理由の第一は海がすごく綺麗なことかな。やはりこれも写真を見せた方が話が速いよね」
 僕はノートパソコンの写真フォルダを開いてニシ浜の写真を見せた。
「これがニシ浜で撮った写真だよ」
 真っ白な砂浜の向こうには黒島より少し薄いスカイブルーの海が広がっていた。所々、珊瑚のあるところだけが色が濃くパッチワークのようだった。海は沖に向かうにつれて青さを増し、その先には西表島が控えていた。
「わあ、すごい。確かにこれなら人気が高いのもうなずけるわね」
 たった一枚の写真が見事に真澄を納得させてしまった。
「そうだろう。それに、この浜は少し沖へ泳ぐだけで綺麗な珊瑚が見られる、正に最高な場所なんだ」
「ボートに乗らなくてもシュノーケリンゲで珊瑚が見られるのね」
「そうなんだ。」
 そう答えた後、僕は次々とニシ浜の写真を真澄に見せた。真澄は何かに魅入られたように黙って画面を見続けていた。ニシ浜の写真が尽きたところで僕は唯一の欠点と思えることを教えてあげた。
「この浜の短所を敢えて挙げるとしたら、浜辺に日陰がないことかな」
「それじゃあ、あまりのんびりできないわけね」