八月十三日(木)

 しかし、実際に曲を作り始めてみると、予想に反して曲はスムーズに出来上がった。真澄のリクエストはかなり具体的だったし、歌詞の語数もそれほど多くなかった。五七調で書かれている上に、パートもきちんと分かれていたのも幸いだった。かつて詩を書いていた経験のある真澄はやはり歌というものが良く分かっていた。
 曲が出来上がったところで僕は真澄を呼んだ。ベランダに続くドアの前にはもうしばらく前から座布団が二つ並んだままになっていた。
僕は先に三線を持って腰を下ろし糸の調子を合わせた。真澄が隣に座ったところで僕は練習の開始を提案した。