「とっても良い歌ね。こんな歌を贈られたら私、何十年でも待てる気がする」
 歌が終わると真澄が感想を聞かせてくれた。
「大袈裟だな」
「そんなことないよ」
 褒めてはもらったものの僕には少々気になることがあった。
「でも、東京出身の僕が歌って、なんか嘘っぽく聴こえなかった?」
「ううん。『いつも八重山に行きたい』って思っている純さんの気持ちがこもっているからすごく自然に聴こえたわ」
「そうか、それなら良かった」
 ほっとした気分に浸っていると真澄に尋ねられた。
「それで歌のタイトルは決めたの?」
「三拍子だから『望郷ワルツ』とかでどうだろう?」
 そのタイトルには少し納得がいかないといった表情を浮かべて、真澄は自分の考えと共に質問を繰り出してきた。
「この歌の雰囲気だったらカタカナじゃなくて日本語の方が良いと思うな。ワルツって日本語でなんて言うの?」
「輪舞曲だったかな」
「じゃあ『望郷輪舞曲』で良いんじゃない?」
 真澄のアイデアは悪くないような気がした。
「そうだね、そうしよう」
 僕が同意すると、真澄は更に歌に対する感想のようなものを付け足した。
「でも、私、この歌好きだな。純さんのいない時に口ずさんでしまいそう」
 そう言って真澄は少し照れたように笑った。