「よろしい。許可します」
 やりたいことが揃ったというのに真澄はまた手を挙げた。
「はい、先生、質問があります。おやつはいくらまでですか?」
 僕は笑いそうになったが真澄のジョークにちゃんと応えた。
「五百円までです」
 真澄は懲りずにまた手を挙げた。
「はい、先生。バナナはおやつに入りますか?」
「入りません。好きなだけ持ってきてください」
「分かりました、先生。ありがとうございます」
 真澄が言い終わると、僕たちは二人ともふき出してしまった。この世のものでない真澄とそんなバカなやり取りをしていることが、僕にはとても不思議なことに思えた。