約四年前、僕は今通っている大学の付属高校に入学した。二学期が終わるまで、僕はごく普通の高校生活を送っていた。僕がいた1年2組は男子の学級委員の不動と女子の学級委員の吉沢さんを中心とした仲の良いクラスだった。
しかし、年が変わり三学期が始まると僕の生活は一変した。僕へのいじめが始まったのだ。いじめの首謀者は、なんと学級委員の不動だった。不動は成績も学年でトップ、スポーツも万能で何かの格闘技も習っているという話だった。なかなかのイケメンでいじめとは縁のなさそうな好青年だった。
 当然、女の子にも人気があったが不動は誰とも付き合っていなかった。同じクラスの馬場祐子のことが好きだからだという噂があった。その馬場祐子は僕のガールフレンドだった。
 僕と祐子は軽音楽部の部員で、共にギターを弾いていた。入学後すぐに付き合い始めた僕たちはそれを周囲にうまく隠していたが、おそらく冬休みの間にそのことが不動に知れたらしい。そして、嫉妬は不動の理性を完全に破壊してしまったようだった。
 三学期が始まると、僕は、机に落書きをされる、カバンにゴミを入れられる、持ち物を隠されるなど、陰湿ないじめに合うようになった
 それから、徐々に僕を無視するクラスメートが出始めた。クラスに強い影響力を持つ不動には逆らえず、ついに僕はクラスメート全員から無視されるようになった。