「今までの三曲はみんな旅の出会いの歌だよね、だから、次はそうじゃない歌詞にしないとね。うーん、現地の人になるのはちょっと想像がつかなくて難しそうだから、恋人同士の旅の話なんてどうかしら」
「それいいね」
 僕はすぐに真澄の提案に飛びついた。
 真澄も更に熱が入った。
「じゃあ、歌詞はその線で決まりね。もしかしたら、もっとアドバイスができることがあるかもしれないから、純さんが西表でしてきたことを話してくれないかな?」
「いいよ。でも、西表にもロマンチックな思い出なんてないよ」
「いいわ、別に。ああ、できたら写真も見せてくれないかな?」
「ああ、そうだね。その方が話が早いね」

 それから僕は寝室のテレビにノートパソコンをつないだ。テレビの前に座布団を二つ並べて二人で腰を下ろしてから、僕の紙芝居が始まった。
 河口から続く仲間川のマングローブの森は、満潮時には木々の根元が水中に沈み、干潮時には不思議な形の根が姿を現す。中流の展望台から見た仲間川は深いジャングルの中を蛇行し、まるでアマゾンのようだ。
 ピナイサーラを初めとするいくつもの滝は、豪快なものから優雅なものまで様々だ。