「次は西表の歌を作ろうと思うんだけど、何か良いアイデアはないかな?どんな曲が良いかな?それに合わせて歌詞は書こうと思うんだけど」
「そうね」
 真澄はテーブルの上に組んでいた腕をほどくと、右手の人差し指をこめかみに当てて少し考えた。
「今のところ『鳩間島の歌』だけが三拍子で、他の三曲は四拍子だから次は三拍子にしてみたらどうかしら」
 四拍子ばかりにならないようにするというのも、変化を付けるには良い考えだと思った。
「三拍子か。それでどんな雰囲気の曲にすれば良いと思う?」
「そうね、『鳩間島の歌』と同じにならないようにしないといけないから、テンポが速めの明るい曲にすれば良いんじゃない」
 確かに的確な意見だった。僕はすぐにそうしようと決めて歌詞の方に話を移した。
「そうすると、当然、歌詞も明るい内容にしないといけないね」
「そうなるわね」
「どんな話にすれば良いんだろう?」
 正直、僕にはまるで考えがなかった。そんな僕とは裏腹に真澄はまた良いアイデアをひねり出してきた。