八月一日(土)

「おはよう、純さん」
 僕が目を覚ますと、真澄はキッチンのテーブル前に置かれた椅子に腰を下ろして僕の方を見ていた。
「おはよう、真澄さん」
 僕は開いたばかりの目をこすりながら真澄の方を見て少し驚いた。真澄の体は輪郭がほぼ完全に整っていた。透明度もかなり落ちて、気をつけて見なければ背後が透けて見えることは分からない程だった。
「土日はアルバイトもお休みだって言ってたよね?」
 真澄に言われて初めて僕はその日が土曜日だと気づいた。
「うん」
「じゃあ、歌を作る時間がたっぷりあるね」
 真澄はすでに意欲満々だった。起きたばかりの僕はまだ頭が少々ぼやけていたというのに。